研究課題/領域番号 |
21H00970
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川又 雄二郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別教授 (90126037)
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研究分担者 |
戸田 幸伸 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (20503882)
權業 善範 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (70634210)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 代数多様体 / 連接層 / 変形理論 / 非可換環 / フロップ / Hochschildコホモロジー / コンパクト複素多様体 / 非可換変形 |
研究実績の概要 |
今年度は非可換変形の理論の研究を継続するとともに、代数多様体の特異点圏の研究も行った。 ここで非可換変形というのは、非可換環をパラメーター空間とする変形のことである。代数多様体X上の連接層Fの変形は、DG環A = RHom(F,F)で記述される。Aは元来非可換であるので、変形のパラメーター空間として非可換なものを考えるのは自然である。さらに、非可換変形は可換変形よりも豊富に存在し、変形空間の解析からより多くの不変量を得ることができる。 今年度に書いた論文では以下のことを証明した:3次元代数多様体のフロップ縮小写像に関して、この双有理写像を任意に可換変形したときの非可換変形環の変形を記述し、戸田氏やHua氏が証明したGopakumar-Vafa不変量に関する公式を、例外曲線が複数個ある場合に拡張し、そこで述べられた予想も証明した。また、一般の半普遍変形のパラメーター環を、ベクトル空間T1およびT2を使って記述する定理を証明した。さらに、コンパクト複素多様体の非可換変形を定義し、T1およびT2がHochschildコホモロジーを使って記述できることを証明した。 代数多様体Xの特異点の圏は、連接層の導来圏を完全複体のなす部分圏で割った商として定義される。Xが超曲面特異点のみを持つ場合は行列分解の圏と一致し、重要である。XがGorensteinである場合にはHom集合が有限次元になるが、非Gorensteinの場合には一般には無限次元である。ここでは、極小モデル理論で重要な商特異点を持つ重みつき射影空間の場合を研究し、いくつかの例の計算を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非可換変形の基礎理論についての研究が進展した。さらに、D G環で記述される連接層の変形と違って、D G Lie環によって記述されるコンパクト複素多様体の非可換変形についてもT1とT2を使った記述が可能であることを示し、Hochschildコホモロジーによって計算できることを示した。 また、滑らかな代数多様体の導来圏の半直交分解を、特異点を持った代数多様体の導来圏の半直交分解へ拡張することを研究した。これは全く新しい研究方向である。
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今後の研究の推進方策 |
特異点を持った代数多様体の連接層の導来圏を考察し、半直交分解を研究する。さらに、特異点の圏も対応した半直交分解を持つかどうかを調べる。同値な特異点の圏を持つような特異点の間の関係を探る。
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