研究課題/領域番号 |
21H00972
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
若槻 聡 金沢大学, 数物科学系, 教授 (10432121)
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研究分担者 |
杉山 真吾 日本大学, 理工学部, 助手 (70821817)
都築 正男 上智大学, 理工学部, 教授 (80296946)
鈴木 美裕 金沢大学, 数物科学系, 研究協力員 (50916517)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 整数論 / 保型形式 / 保型周期 / 概均質ゼータ関数 / 相対跡公式 / 保型表現 |
研究実績の概要 |
保型形式とはリー群の離散部分群による商空間上に定義されるラプラス作用素の固有関数のことである。保型形式は整数論の研究において非常に重要な対象であり、特に保型形式から定まるL関数(保型L関数)は様々な場面で大きな役割を果たす。例えば楕円曲線のゴールドフェルド予想の研究(楕円曲線の階数の2次捻りの平均値の予想)ではモジュラリティ定理(志村谷山予想)を通じて保型L関数の中心値を用いたアプローチが可能となっている。さらに保型L関数の中心値と保型周期(保型形式の周期、リー群の部分群上の保型形式の積分)は密接に関連しており、非消滅性に関してはほぼ同値であることが知られている。つまり保型周期は保型L関数の中心値について決定的な役割を果たすため、近年でも非常に活発に研究されており、様々な研究の進展が得られている。本研究の主要な目的は保型周期に対して非消滅定理および漸近公式を導くことである。本研究の目的は大きく二つの(I)と(II)があり、目的(I)はGL(2)の保型表現を一つ固定して、数体Fの2次拡大Eを動かしてトーラスEに関する保型周期の非消滅定理および平均値定理を導くことである。目的(II)はFの2次拡大Eを固定して、ラプラシアンの固有値やレベルに関するGL(2n)の保型表現の族(保型表現の適 切な集まり)を考えることで、GL(n,E)に関する保型周期の漸近公式を導くことである。今回の主要な研究実績は目的(I)に関するものでGL(2)の保型形式の周期の二乗の平均値定理を証明したことである。概均質ゼータ関数を使った方法は目論見通り平均値定理を導くことを可能とし、特に概均質ゼータ関数の留数公式は任意の局所表現に対して成立するため、分岐条件を含んだ一般的な設定において想像以上に簡明な公式を導くことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の「研究実績の概要」で述べた研究成果によって目的(I)の大半を達成することに成功している。特に概均質ゼータ関数を用いた方法で証明したことに大きな意義がある。保型L関数の中心値の漸近挙動の研究に関して、分岐条件を含んだアデール的な議論を用いた本研究のような方法が、これまで存在しなかった。そのため、分岐条件を含む一般的な設定において、完全に明示的な平均値定理が初めて証明された。また概均質ゼータ関数を保型周期の研究に応用できたことも従来には無い方法であり、研究手法として新しい領域を切り開くことができたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「研究実績の概要」の目的(I)を推進するだけでなく、目的(II)の相対跡公式による保型形式の族に対する保型周期の漸近挙動についての研究を推進する。相対跡公式の一種であるGuo-Jacquet相対跡公式について研究を行う予定であるが、その前段階としてGL(n)の捻られた跡公式を使った保型形式の漸近挙動について研究を行う。様々な側面でGuo-Jacquet跡公式と捻られた跡公式には類似点があるので、まずは比較的一般論が整理された捻られた跡公式について研究を行い、Guo-Jacquet跡公式による漸近挙動の研究の下地を作る計画である。
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