研究課題/領域番号 |
21H00985
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
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研究分担者 |
直江 央寛 中央大学, 理工学部, 助教 (10823255)
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 教授 (30268974)
太田 啓史 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (50223839)
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
粕谷 直彦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70757765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 葉層構造 / 接触構造 / シンプレクティック構造 / Anosov 流 / Lefschetz fibration / Lagrangian fibration / 実解析的1次元微分同相 |
研究実績の概要 |
葉層構造からの研究としては、横断的実1次元解析的葉層構造の定性論において大きな進展を得た。実解析的1次元微分同相の不動点の近傍にいて、正負の両側の近傍の間に一意的な対応が存在するという、驚くべき構造を発見した。これは複素化した、複素1次元微分同相の不動点の近傍の構造解析である「放物型線形化理論」を更に一歩進めて、Ecalle cylinder のエンドでの挙動を解析することにより、発見、解明された事実で、これまで複素力学系の分野でも見過ごされていた。これにより、平坦円周束に関する Mather-Thurston 写像は実解析的なカテゴリーでは恐らく役に立たないでありうと思われていたが、そうではないことが示唆され、この方向で実解析的葉層構造の研究を進めることの可能性が見えてきた。 単純楕円特異点や尖点特異点の Milnor fiber 上の Lefschetz fibration の構成が Lagrangian torus fibration として実現されることを受けて両立する複素構造・ symplectic 構造が多様性を持ち、K3 曲面の Hyper-Kahler 性に位相的にアプローチするための解析が進んだ。また、この進展により、特異点理論におけるArnol'd の strange duality を K3 曲面のを経由して理解する理論の、従来の代数幾何からのアプローチ(Pinkham による)ではなく、中村郁により提案されたやはり代数幾何からのアプローチの微分位相版がほぼ明確な形として現れた。Hirzebruch-井上曲面の K3-曲面への代数幾何における変形を微分トポロジーの立場でとらえたということができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子化に関する接触幾何におけるホモロジー論の構築に関して研究が停滞している。一方、単純楕円特異点や尖点特異点の Milnor fiber 上の Lefschetz fibration の構成が Lagrangian torus fibration として実現されることを受けて両立する複素構造・ symplectic 構造が多様性を持ち、K3 曲面の Hyper Kahler性に位相的にアプローチするための解析が進んだ。 また、葉層構造の側面からは、横断的1次元実解析的な場合に、予想していなかった大きな局所的構造を発見した。これにより葉層構造の側からの研究が進展したのみならず、研究の方針自体に大きく改良できることとなった。 総合的には、おおむね順調な進展を見せていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
葉層構造の側面からは、実1次元微分同相の不動点に関する局所的な構造の発見をもとに、Mather-Thurston Map をの解析を進める。特に、Haefliger 群の構造の解明を目指す方向で、研究を勧める。これと並行して平坦円周束の Euler 類の問題を考察し、3,4, 5次元多様体上での超平面場の微分トポロジーっを進める。 また、K3 曲面、カスプ特異点の Miolnor fiber を中心として特にその integral affine 構造を解析して、両立する複素構造、symplectic 構造の解析を進める。 Engel 構造、Poisson 構造に関しては、Cartan 幾何の枠組みを導入することを新たに計画する。また、この枠組みを、本研究課題の量子化サイドの問題に適用することを試みる。
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