研究課題/領域番号 |
21H00986
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
河野 俊丈 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (80144111)
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研究分担者 |
北山 貴裕 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (10700057)
逆井 卓也 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (60451902)
鈴木 正明 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (70431616)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 組みひも群 / 写像類群 / モジュライ空間 / 高次圏 / 量子群 / 量子位相不変量 / 結び目理論 / 共形場理論 |
研究実績の概要 |
研究代表者はベクトル束のホロノミーの理論を高次圏に拡張する研究を進めた。特に、2次元ホロノミーについて考察し、ベクトル束の2-接続のホロノミーをChenによるコバー構成法による非可換形式的べき級数環に値をとる接続を用いて、反復積分を用いた普遍的な表示を得た。また、この構成を配置空間のループ空間のホモトピー周期、組みひもコボルディズム圏の表現に応用した。これらは、結び目に対するKontsevich積分の高次圏への拡張を与える。また、Temperley-Lieb-Jones圏について研究し、共形場理論における共形ブロックの空間との関係を明らかにした。具体的には、Temperley-Lieb-Jones圏の射の集合と,Wess-Zumino-Witten理論の共形ブロックの空間の同型を証明し組みひも群の作用が同変的であることを示た.この方法によって組みひも群既約でユニタリ表現を組織的に構成する手法を開発し、量子計算への応用について研究を進めた。また、組みひも群のホモロジー表現とKZ方程式のモノドロミー表現との関連を明らかにした。共形場理論の場合は無限遠でレゾナントであり共形ブロックへの組みひも群の表現は量子群の1のベキ根における表現の対称性をもつ。この場合に、積分サイクルの構造を詳しく調べて,KZ方程式が,代数多様体の周期積分の満たす微分方程式として表されることを示した。研究分担者、鈴木正明、逆井卓也はLMO関手を用いたホモロジーシリンダーの研究を進め、曲面の写像類群についての新たな知見を得た。また、研究分担者北山貴裕は、結び目群のSL(2)表現空間の研究を行い、ホモロジー・セルマー群についての結果を得た。以上のように研究グループでは、組みひも群、写像類群、結び目群など、位相幾何学における重要な離散群の表現論とその量子化、圏論的手法を用いた量子位相不変量の研究において成果を挙げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2-圏におけるベクトル束の高次ホロノミー理論の確立において進展があり、その成果を国際研究集会"Building-up Differential Homotopy Theory 2023 in Aizu"において招待講演として発表した。予定していた高次圏に関する国際研究集会は、対面開催は中止になったが、オンラインで、国内外の研究者と議論を行い研究を発展させることができた。研究代表者と研究分担者鈴木正明らが組織委員となって明治大学MIMSにおいて、研究集会"Topology and its Applications to Engineering and Life Science"をオンラインで開催し、研究グループの研究成果の位相的データ解析への応用など多角的な研究交流を推進することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高次圏におけるホロノミー理論とその量子位相不変量への応用、共形場理論をに現れる組みひも群の表現を非可換統計の記述に用いることにより、量子計算の分野へ応用などを目指している。研究の推進のために、高次圏、量子タイヒミュラー理論、非可換量子統計をテーマとした研究集会を対面で開催して横断的な研究交流を深めていく計画である。また、明治大学MIMSで開催している「トポロジーとその応用融合研究セミナー」を今後は対面でも実施し、位相的データ解析などの分野の研究者との緊密な連携の下に研究を推進する。
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