研究課題/領域番号 |
21H01004
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
北畑 裕之 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (20378532)
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研究分担者 |
長山 雅晴 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20314289)
末松 信彦 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (80542274)
住野 豊 東京理科大学, 理学部第一部応用物理学科, 准教授 (00518384)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己駆動粒子 / 反応拡散系 / アクティブマター / 表面張力 / 対称性 / マランゴニ対流 / 同期現象 |
研究実績の概要 |
昨年度行っていた、自己駆動する粒子(能動粒子)と単に濃度場の影響だけを受けて運動する粒子(受動粒子)が引力的相互作用を持ち、ペアになって運動する現象について、実験、シミュレーション、理論解析の結果をまとめた論文が、国際学術誌に公開された。 さらに、円形領域の中に長方形形状の樟脳粒(界面活性を持つ物質を周囲に放出する)を浮かべた場合の運動について実験とシミュレーションで調査し、自己駆動力の違いによって、円形領域の中心で静止する状態、円形領域の中心を通り壁で反射する往復運動を示す状態、そして、円形領域の壁で跳ね返りながら星形多角形の軌道を描く状態へと遷移することを明らかにした。この結果は査読付き国際学術誌に公開されている。 また、界面活性を持つ物質を放出する粒子を先に取り付けた棒を回転のみが可能なように中心位置を固定した場合の回転子について、2つ並べた時に濃度場の相互作用によって同期現象が起こることを見出した。また、1つの回転子が作る濃度場を解析的に求めることができたため、2つの回転子が十分に離れて配置されている弱い結合の極限においては、理論解析によりどのような同期モードが安定化するかを明らかにすることができた。この系においては、濃度場と回転子の運動を考えた数値計算により同期現象を再現でき、それにより得られる安定同期モードが理論解析と一致することを明らかにした。この結果は論文としてまとめ、現在国際学術誌に投稿中である。 さらには、濃度場により運動する自己駆動液滴の実験系の解析も進め、その形状を対称性の観点から整理した。そして対称性を用いて記述する理論モデルと対比することで運動と変形の結合のメカニズムに迫った。また、それと同時に実験的に、レーザーシートを用いた流れ場の計測も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度にほぼまとまっていた能動・受動粒子ペアの運動モード分岐については論文としてまとめることができた。2022年度に予定していた回転子の結合系に関する研究に関しては論文を投稿し、自己駆動液滴の変形解析についても論文として報告するべきデータはほぼ揃い論文執筆の段階にあり、これらは予定よりもいくぶん早く進行している。また、流れ場計測の実験系についてもほぼ予定どおり進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ予定通り進んでいるので、2023年度も引き続き多体系の理論的記述、および、流体相互作用も含まれる際の挙動・理論的記述を行うため、実験、数値計算、理論の多方面からアプローチしていく。これらを通してViscekモデル、Squirmerモデルなどに続く、新しいクラスの集団運動を記述できるモデルを構築することを目指す。
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