研究課題/領域番号 |
21H01008
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
田村 亮 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (20636998)
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研究分担者 |
二村 保徳 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30736210)
宮崎 剛 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50354147)
櫻井 鉄也 筑波大学, システム情報系, 教授 (60187086)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 不規則構造 / 機械学習 / 分子動力学シミュレーション |
研究実績の概要 |
本課題の目的は,各原子周りの構造と局所的な統計量(少ない統計量)を利用した不規則構造のミクロスコピック解析手法の確立である.当該年度では,まず,不規則構造解析用アルゴリズムのプロトタイプを作成した.本アルゴリズムでは,まず第一原理計算による分子動力学シミュレーションを実施し,局所構造が様々異なるトラジェクトリーを収集する.原子周りの局所構造を局所的な統計量で表すことのできる記述子であるLAAF記述子を導入し,トラジェクトリー中の各原子をこのLAAF記述子に変換する.高次元LAAF記述子を,構造の違いを適切に捉えることのできる低次元空間にTS-LPP法という手法を利用しマッピングする.TS-LPP法は,Locality Preserving Projection(LPP)法を2回繰り返すという本課題によって導入された手法であり,通常のLPP法や主成分分析よりも良い低次元空間を得られることがわかっている.本開発手法を用いることで,Si一元系,SiGe二元系において,固体状態,液体状態,アモルファス状態を適切に分類できる低次元空間を見つけることが示せた.さらに,この低次元空間において,Si一元系のメルトクエンチプロセスの全分子動力学トラジェクトリーを解析することで,アモルファス化する際の局所構造の変化を可視化することができた.このように本課題で使用する手法の開発,比較的容易な系を解析することで,不規則構造のミクロスコピック解析手法の確立に向けた検証研究が完了した.本年度開発した手法をまとめた論文はPhysical Review B誌に発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各原子周りの構造と局所的な統計量(少ない統計量)を利用した不規則構造のミクロスコピック解析手法の確立を目指し,不規則構造解析用アルゴリズムのプロトタイプを作成した.初年度に適切なアルゴリズムが完成し,論文化することができ,本課題は順調に進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
開発した不規則構造解析用アルゴリズムを利用し,応用研究を実施する.その結果より,さらにアルゴリズムの改良を進める予定である.また,不規則構造解析のターゲットとして,分子動力学シミュレーションによるトラジェクトリーが必要となる.これを高速に得るための,機械学習力場の開発も進める.これにより,解析対象のデータを高速に取得でき,解析対象領域の拡大が期待できる.
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