今後の研究の推進方策 |
これまで調べてきたCu1-xMnxやFeO-Al2O3-SiO2はハイゼンベルグ系であった。R6年度はイジング性スピングラスである(Fe,Mn)TiO3を対象とする。スペクトルの形状やその温度依存性はハイゼンベルグ型と異なると予想している。磁気異方性と磁気ボゾンピークの関係が明らかになれば、磁気ボゾンピークについてより深い洞察が得られるだろう。また、(Fe,Mn)TiO3はMn濃度によってリエントラントスピングラス相を発現し、冷却に伴い、常磁性、反強磁性、(リエントラント)スピングラスと転移する。反強磁性相とリエントラントスピングラス相、及びスピングラス相とリエントラントスピングラス相で磁気励起がどのように変化するのか、Mn濃度や温度変化を調べる。リエントラントスピングラスは理論的にその存在が予測されてきたが、実際の物質で起こる現象について統一的見解が得られているとは言い難い。スピンの動的構造の観測に適した中性子散乱法を駆使して、本物質のスピングラス及びリエントラントスピングラスの本質を明らかにしたい。
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