研究課題/領域番号 |
21H01067
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
出射 浩 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70260049)
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研究分担者 |
恩地 拓己 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (00727216)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 電子サイクロトロン加熱・電流駆動 / 非誘導プラズマ電流立ち上げ / 球状トカマク |
研究実績の概要 |
これまでに加熱ビームの入射角制御により、加熱される共鳴電子の速度領域を変え、斜め入射にて高効率な高速電子生成による高プラズマ電流、また準垂直入射にて比較的温度の高い(バルク)電子温度を達成している。但し、準垂直入射でも電子温度が下降し始めると波動吸収が下がり、比較的高い電子温度を維持できなくなり、高速電子が成長する。高速電子の生成・成長を抑えるために、中心ソレノイド(CS)コイル電流掃引でプラズマ電流駆動と逆方向の誘導電場を印加する実験を行った。CSコイル電流掃引を止めて誘導逆電場をゼロにすると、それまで維持されていたバルク電子温度(150 eV程度)が減少する。併せて高速電子の生成・成長を示す硬X線カウントの急激な増加、プラズマ電流の増加が観測され、誘導逆電場によるバルク電子温度維持、高速電子の生成・成長抑制の効果を実験的に明らかにした。こららの結果をプラズマ・核融合学会年会、 第29回 IAEA Fusion Energy Conference で報告し、Nuclear Fusion 誌に投稿した。 斜め入射方向と同じトロイダル方向の速度領域で共鳴となる異常波モード・基本波加熱でプラズマ電流立ち上げ・電流駆動する実験シナリオの検討をプリンストン・プラズマ物理研究所との共同研究で実施している。異常波モード・基本波は、右回り遮断で基本波共鳴層に到達できないが、遮断層位置より低磁場側(アップシフト)で、斜め入射で強いドップラーシフト効果が現れる速度領域の共鳴電子に強く波動吸収される。このシナリオでは、炉での高温プラズマ、もしくは高速電子が存在する場合に高い電流駆動効率となる。高速電子が存在するQUEST 実験で高効率な電流駆動シナリオの実験検証を進める。QUEST における数値解析結果をプラズマ・核融合学会年会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子サイクロトロン放射計測には、別途整備されていた位相配列アンテナを用いていたが、プラズマ負荷による形状変化が見つかった。計測システムの再構成が必要で、電子サイクロトロン放射計測に関して遅れが生じる。但し、逆電場による高速電子生成・成長の抑制の実験的検証に加え、斜め入射方向と同じトロイダル方向の速度領域の電子への異常波モード・基本波の共鳴吸収を用いた高効率プラズマ電流立ち上げ・駆動の数値解析検討は、当初計画を超えて進展している。
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今後の研究の推進方策 |
誘導逆電場を用いた高速電子の生成・成長を抑えた実験では、さらに高い電子温度の達成、生成・成長抑制の機構解明に向け、逆電場印加・トカマク(プラズマ)形状の調整を行う。異常波モード・基本波共鳴吸収を用いた高効率プラズマ電流立ち上げを QUEST で実験するためには磁場増強(0.25T→0.5T)が必要である。磁場増強時、中心に第2高調波共鳴が存在する。中心バルク電子加熱を伴う高効率プラズマ電流立ち上げの実現に向け、数値解析検討を進めるとともに、別途、磁場増強を進める。 電子サイクロトロン放射計測(ECE) については、計測システムの再構成が必要である。中心から高磁場側第二高調波共鳴層付近までの高速電子由来の ECEスペクトラムを観測するよう、より高い周波数の観測に応じた付加的な高周波回路を別置、整備を進めるシステムに追加する。令和4年度にチャンネル間のクロストークを除去した多チャンネル低ノイズアンプシステムなどは活用する。
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