研究課題/領域番号 |
21H01122
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石山 智明 千葉大学, 統合情報センター, 准教授 (90616426)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ダークマター / 高性能計算 / 理論天文学 / 銀河形成 / 初代星 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超高解像度宇宙論的ダークマター構造形成シミュレーションと準解析的天体形成モデルを駆使し、高赤方偏移天体の形成と進化、そしてそれらが宇宙の大域的進化に果たす役割を理論的に調べることである。またシミュレーションデータや高赤方偏移天体の模擬カタログをコミュニティに公開する。 2022年度末までに、初代星が誕生するミニハローを分解し、かつ宇宙の大域的構造を追える構造形成シミュレーションを宇宙再電離期に対応する赤方偏移まで進めた。また、準解析的高赤方偏移天体形成モデルを拡張し、より広大な領域を扱えるようにコードの最適化を進めるとともにテスト計算を行った。結果を論文としてまとめている。また準解析的銀河・活動銀河核形成モデルを既存の大規模シミュレーションに適用した。活動銀河核の光度関数のコズミックバリアンスを各赤方偏移ごとに評価し、将来観測のための予言を行った。結果をまとめた論文が査読付き欧文論文として投稿中である。さらに高赤方偏移から現在までを首尾一貫して接続する経験的モデルを用いて、高解像度の銀河カタログを生成した。2021年末に打ち上げられたばかりのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測では、宇宙初期の大質量銀河の候補が続々と発見されており、標準宇宙論の枠組みでいかに説明するかが課題になっている。理論カタログと観測データを詳細に比較し、これらの銀河が宇宙論的文脈でどのように位置づけられるか検証できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は2023年度に進める予定であった高赤方偏移の高解像度の銀河カタログの整備が完了した。予定よりも1年程度早期にデータ公開が実現できそうである。
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今後の研究の推進方策 |
準解析的高赤方偏移天体形成モデルを用いた研究では、多数のモデル計算を行い観測と比較する。初代星の初期質量関数や、星形成を阻害するのに必要な輻射場、再結合時のダークマターとバリオン間の相対速度などのパラメータを変更したモデル計算を多数行い、現在の観測を再現するのに適切なモデルを構築する。そして初代星や初代銀河が宇宙の大域的進化にどのような役割を果たしてきたかを調べる。 並行して経験的モデルを用いた高解像度の銀河カタログを用いた研究も進める。
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