研究実績の概要 |
銀河とは, 星と星間物質, 暗黒物質の巨大な塊(100万-1兆太陽質量)であり, 可視光線での宇宙の姿を形作る基本単位である. 宇宙誕生当時, 物質の分布はほぼ一様で, 平均よりわずかに高密度の領域が重力によって成長し, 合体成長とガスからの星形成を経て現在の銀河へと進化した. 銀河進化は銀河の内部の物理のみならず置かれた環境にも強く依存する極めて複雑な過程である. 本研究は, 130数億年にわたる銀河の形成・進化という複雑な物理現象を, これまでの宇宙物理学の方法とはまったく異なる, データ科学の最新手法である位相的データ解析(topological data analysis: TDA)に基づくアプローチによって新たな角度から定量化することを目的とする.
初年度である2021年度は研究実施計画に則り, 銀河の多波長データがなす高次元空間において銀河進化が形作る銀河多様体を定量化すること, そして銀河分布の大規模構造をTDAの中心的方法であるパーシステントホモロジーによって表現することを目標としていた. これらについては顕著な初期成果を出すことができ, 論文の投稿に至っている. これに加え, 高次元小サンプルサイズデータの統計によって星間物質の特徴づけを行う研究, および観測の難しい宇宙磁場データの再構成法の論文を投稿することができた. すべてについて好感触のレフェリーレポートが返ってきている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画では銀河の多波長データがなす高次元空間において銀河進化が形作る銀河多様体を定量化すること, そして銀河分布の大規模構造をTDAの中心的方法であるパーシステントホモロジーによって表現することを目標としていた. これらについては顕著な初期成果を出すことができ, 論文の投稿に至っている. これに加え, 高次元小サンプルサイズデータの統計によって星間物質の特徴づけを行う研究, および観測の難しい宇宙磁場データの再構成法の論文を投稿することができた. どれも好感触のレフェリーレポートが返ってきており, 2022年度中にはすべて出版されると期待できる. 予想以上の成果と言える.
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