研究課題/領域番号 |
21H01133
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
伊王野 大介 国立天文台, TMTプロジェクト, 准教授 (60425402)
|
研究分担者 |
矢島 秀伸 筑波大学, 計算科学研究センター, 准教授 (10756357)
松田 有一 国立天文台, アルマプロジェクト, 助教 (20647268)
但木 謙一 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任助教 (30726435)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 銀河天文学 |
研究実績の概要 |
宇宙の大局的な星形成や構造形成の描像はおおよそ見えてきたが、個々の銀河の成長の根源を担う物理プロセスや質量獲得メカニズムの詳細は未解明な部分が多い。特に、大質量銀河の形成と成長の過程については、今日に至るまで未解決問題として残っている。形成途上にある大質量銀河は、膨大な星間塵に遮られ可視光や赤外線では捉えられない隠れた大質量星を形成しているため、塵からの熱放射を直接捉えることができるサブミリ波の観測が極めて重要である。本研究では、ALMA望遠鏡を用いて遠方の大質量銀河候補を高い分解能で観測し、その詳細に描き出された画像から大質量銀河の形成シナリオを構築することを目的とする。
2022年4月に募集されたALMA Cycle 9において、特に明るい大質量候補銀河30天体を観測するサーベイ提案を提出し、採択された。しかし、観測所側のアレイ配列の関係で2022年度中に観測が実行されなかったため、引き続きアーカイブデータを用いた研究を進めた。空間分解能はやや低いが、赤方偏移1に存在する原始銀河団領域におけるアルマ連続波データを用いて、分子ガスが連続波でトレースされる塵の分布よりも空間的に広がっていることなどがわかった。このことから、爆発的な星形成は銀河の中心付近で行われ、バルジ形成にも関連している可能性があることを示した。2023年度中に観測予定のALMA Cycle 9の高分解能データにより、詳細な描像が得られることが期待される。
2023年度前半は、引き続きアーカイブデータの解析および初期成果の発表を行った。2023年11月にCycle 9のデータが手元に届いたが、提案していた30天体のうち12天体(40%)のみ観測された。2023年度後半はその12天体の解析および考察をすすめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年4月のALMA Cycle 8 2021の観測提案募集において大規模なサーベイを提案したが、残念ながら不採択であった。一方、2022年4月のALMA Cycle 9において同提案は採択されたが、観測所側のアレイ配列の関係で2022年度内に観測が実行されなかったために遅延が生じた。2023年夏に観測が実行され同11月に観測データが届いたが、提案していた30天体のうち12天体(40%)のみ観測され、当初の予定より遅れている状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
明るい大質量候補銀河30天体を観測するサーベイ提案を提出し採択され、12天体分のデータが2023年度11月にデータが届いた。今後もその解析と考察を進めていき、国内外研究会等で発表し、論文を執筆する。一方、提案していた30天体のうち18天体は未観測のため、2024年4月締め切りのALMA Cycle 11にて再提案する。
|