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2021 年度 実績報告書

アルマの高精度観測による,タイタン・海王星の特異な大気化学・物理過程の網羅的解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H01142
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

飯野 孝浩  東京大学, 情報基盤センター, 特任准教授 (40750493)

研究分担者 佐川 英夫  京都産業大学, 理学部, 教授 (40526034)
谷口 琴美  国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (40865549)
野澤 悟徳  名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60212130)
塚越 崇  国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (20533566)
山田 崇貴  国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 研究員 (00852261)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード電波天文学 / 惑星大気化学 / 惑星大気物理 / リモートセンシング / テラヘルツ / 輻射輸送 / ビッグデータ
研究実績の概要

本研究では,地上最大のテラヘルツ電波干渉計である「アルマ」を用い,特に海王星・タイタンを対象とした大気リモートセンシングを行うことで,その大気環境の解明を目指している.
本研究の特色として,惑星大気の観測研究をコアとして,その周辺領域(原始惑星系円盤観測,星間化学,地球大気物理,輻射輸送計算)の研究者によるチームを構成,学際的な取り組みを展開していることが挙げられる.初年度は,チーム内での連携により,複数の研究グループを形成し,今後の取組の基盤となる成果が創出された.
初年度の主たる成果として,アルマを用いたタイタン大気中のシアノアセチレン(HC3N)分子中の3種の13C同位体の存在量比の世界初の導出(査読付き雑誌論文として掲載)をあげることができる.星間空間において,同分子の3つの炭素原子のうち,その両端にある1ないし2の原子に13Cが濃集することが知られている.本研究では,タイタン大気中においては星間空間ほどの濃集が見られないことを示し,星間化学との気相化学過程の比較を行った.また,タイタン大気における微量分子の3次元分布の自動導出をオープンソースソフトウェアのみで行うソフトウェアの開発・検証を行い,結果を査読付きプロシーディングスとして発表した.また,海王星大気物理についての学会発表及び論文投稿,火星大気のアルマ実データを用いた輻射輸送コードの開発・検証と学会発表にも取り組んだ.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の特色である学際的な研究者による研究グループ構成を活かし,複数の研究プロジェクトの立ち上げと,論文発表・投稿,学会発表,予備解析といった成果をあげるに至っている.
星間化学・惑星大気化学連携として,タイタン大気におけるシアノアセチレン分子中の3種の炭素同位体の存在量比の導出に成功している.
地球大気物理・惑星大気物理連携の成果として,海王星成層圏ダイナミクスの直接導出に成功している.本成果は査読付き雑誌論文として投稿済であり,また学会発表済である.
科学研究の基盤となる輻射輸送計算コードの開発・検証として,探査機による地球・衛星大気のテラヘルツ分光コードを用いたアルマの実データでの検証に取り組んでいる.本成果は学会発表済であり,さらに構築済のアルマビッグデータをフルに活用した大気化学・物理研究へと発展予定である.
以上を踏まえ,初年度は各チームの構成・立ち上げと,成果の創出に成功したと自己評価しており,(2)と区分した.

今後の研究の推進方策

初年度に構成したチームをベースとして,別の科研費プロジェクトとも連携しながら,さらなる成果創出につなげていく.
大気化学・星間化学連携として,アルマのビッグデータを用いた微量分子の時間発展の観測的研究に取り組んでいく.特に,同データの高い時間分解能を活かした,高エネルギー粒子の流入等に起因する突発的な大気組成変動に関する研究が重要である.必要なデータセットと解析コードは準備されている状況にある.
地球大気物理・惑星大気物理連携として,海王星ダイナミクスの直接観測論文の改訂を進め,出版を目指す.特に改訂の中で新たな解析にも取り組んでおり,各種学会での発表により,本分野の周知につとめる.
輻射輸送計算コードの開発・検証として,データセットを広く火星の一酸化炭素同位体等に広げ,光学的厚みの異なる複数輝線の同時解析による高精度な大気環境の導出に挑戦する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 13C Isotopic Ratios of HC3N on Titan Measured with ALMA2021

    • 著者名/発表者名
      Iino Takahiro、Taniguchi Kotomi、Sagawa Hideo、Tsukagoshi Takashi
    • 雑誌名

      The Planetary Science Journal

      巻: 2 ページ: 166~170

    • DOI

      10.3847/PSJ/ac134c

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of Open-Source-Based Software Planetary Atmospheric Spectrum Calculator (PASCAL) Specified for Millimeter/Submillimeter Observation of Titan with ALMA2021

    • 著者名/発表者名
      Iino Takahiro
    • 雑誌名

      Computational Science and Its Applications; ICCSA 2021

      巻: 12953 ページ: 234~244

    • DOI

      10.1007/978-3-030-86976-2_16

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アルマによる海王星成層圏東西風緯度構造の検出2022

    • 著者名/発表者名
      飯野孝浩
    • 学会等名
      惑星圏研究会
  • [学会発表] アルマによる海王星上部成層圏東西風の緯度・高度構造の直接観測2022

    • 著者名/発表者名
      飯野孝浩,佐川英夫,野澤悟徳
    • 学会等名
      日本天文学会春季年会
  • [学会発表] ALMAを用いた海王星・タイタンにおける大気化学・物理過程の解明2022

    • 著者名/発表者名
      飯野孝浩
    • 学会等名
      宇宙電波懇談会シンポジウム
  • [学会発表] 13C isotopic ratios of HC3N on Titan measured with ALMA2021

    • 著者名/発表者名
      飯野孝浩,佐川英夫,塚越崇
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
  • [学会発表] サブミリ波帯大気放射モデルを利用したALMA火星COデータの解析2021

    • 著者名/発表者名
      山田崇貴,飯野孝浩,佐川英夫,笠井康子
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
  • [備考] Iino Takahiro website

    • URL

      https://www.iinotakahiro.com/

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公開日: 2022-12-28  

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