研究分担者 |
安藤 芳晃 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30323877)
穂積 裕太 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波伝搬研究センター, 研究員 (50803889)
鈴木 秀彦 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40582002)
西山 尚典 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (00704876)
野澤 悟徳 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60212130)
斎藤 徳人 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (90333327)
川原 琢也 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (40273073)
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
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研究実績の概要 |
ひまわり 8 号による全球輝度画像データから夜光雲を自動検出する手法の開発を進めた. 輝度値の小さい (暗い) 夜光雲も検出する為に, 背景光成分に含まれる大気分子のレイリー散乱光成分を再現・除去した後に閾値判定で夜光雲/極中間圏雲による散乱光を抽出する方法を考案し, 検出感度を向上させた. 本手法で自動検出した夜光雲データの検証として, 夜光雲観測で実績のある NASA の低軌道人工衛星 Aeronomy of Ice in the Mesosphere (AIM) の夜光雲観測データと比較した結果, 非常に良い一致が見られ, 本手法の十分な有効性が示された. 以上の研究成果について論文として纏め, 学術雑誌にて発表した [Tsuda et al., ESS, 2022]. 並行して, ひまわり 8 号で観測される夜光雲構造の時空間変動を解析し, 夜光雲の構造追跡を行うことで, 背景大気の風速 (追跡風速) を推定する手法の開発も進めた. 推定手法の検証として, 推定した追跡風速の平均成分が中間圏界面付近 (夜光雲発生領域) の基本的な平均風速と概ね一致することを確認し, 本手法の妥当性が示された. 追跡風速の変動成分 (大気波動成分) については, 1 日 (24 時間) 周期成分, 半日 (12 時間) 周期成分に加え, 14.8 時間周期成分が観測された. このような夜光雲の地方時変動特性の観測は, ひまわり 8 号の静止軌道を活かした独自の観測であり, 夜光雲観測に新しい視点を提供する意義があると考える. 以上の研究成果について論文として纏め, 学術雑誌にて発表した [Hozumi et al., JGR, 2021].
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ひまわり 8 号による夜光雲の自動検出手法の開発について, 概ね当初の計画通りに進展し, 学術論文 [Tsuda et al., ESS, 2022] として発表したところ, Editor's Highlight (選出率: 2% 未満) に選出された. 加えて, 夜光雲の追跡風速の推定手法の開発についても重要な進展が見られ, 学術論文 [Hozumi et al., JGR, 2021] として発表した.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として, 夜光雲特性量の推定手法の開発を中心に以下の内容を実施することを予定している. (1) 夜光雲 自動検出 - 昨年度開発した可視 1 バンドの検出手法を可視 3 バンドに展開し, 複数バンドの検出結果を比較していく. (2) 夜光雲 粒径分布 解析 - 解析の高精度化の為に, 地表面からの反射光や大気のレイリー散乱光による寄与を考慮した計算方法の開発に取 組む. (3) 夜光雲 追跡風速 解析 - 昨年度に開発した解析手法を長期データに適用し, 追跡風速のデータベース作成を進める. (4) 地上光学観測 分光器 - 次年度以降の連携観測に向けて, 小型可視分光器の設計・製作に着手する. (5) 地上光学観測 ライダー - 次年度以降の連携観測に向けて, 観測装置の保守整備を実施すると共に観測計画を立案する.
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