研究課題/領域番号 |
21H01151
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
深澤 倫子 明治大学, 理工学部, 専任教授 (40409496)
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研究分担者 |
関根 由莉奈 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (00636912)
渡辺 友亮 明治大学, 理工学部, 専任教授 (30345392)
香内 晃 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60161866)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アモルファス氷 / ハイドレート / 星間分子雲 / 物質進化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、超高真空条件におけるアモルファス氷から CO2 ハイドレートへの相転移機構を明らかにし、CO2 ハイドレートが宇宙空間のどこにどのような構造で存在するかを示すことにある。星間分子雲において鉱物微粒子上に凝集した水はアモルファス氷として存在することが知られているが、CO2 を含むアモルファス氷が一時的な昇温に伴って CO2 ハイドレートに相転移する可能性が示唆されている。これまでの研究から、CO2 を含むアモルファス氷を昇温した場合、100 K 付近でCO2 ハイドレートへ相転移する現象が見出されているが、その結晶相の構造特定には至っていない。本研究では、電子線回折法、赤外分光法、中性子回折法を用いた構造解析と超高真空極低温透過型電子顕微鏡観察により、アモルファス氷から生成する CO2 ハイドレートの構造特定を特定し、相転移機構を解き明かすことを目標としている。 2021年度は、赤外分光装置と電子線回折装置を組みこんだ低温真空チャンバーを設計・製作し、赤外吸収スペクトルと電子線回折を同時にその場観察可能な構造解析システムを構築した。この低温真空チャンバーを用いて 6 K から170 K の広い温度範囲で氷試料を蒸着し、昇温および降温に伴う構造変化の過程を解析することに成功している。この一連の実験により確立した試料生成および構造解析の方法を用いて、今後はさらに蒸着試料の組成や蒸着条件、温度変履歴の変化に伴う構造変化の過程を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究が進展している。これまでの研究により、広温度範囲での氷薄膜の生成法および電子線回折法および赤外分光法を用いた測定・解析法は確立できた。さらに昇温・降温に伴う構造変化の過程の解析についても成功している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、電子線回折装置を組みこんだ低温真空チャンバーを製作し、赤外吸収スペクトルと電子線回折を同時にその場観察可能な構造解析システムを構築している。今後は、この測定システムを用いて、CO2とH2O の混合ガスの蒸着により CO2 含有アモルファス氷を生成し、昇温に伴う構造変化の過程を解析する。CO2 ハイドレートの結晶相については、電子線回折パターンの解析により特定する。また、局所構造の変化については赤外吸収スペクトルを用いて解析する。さらに、蒸着する混合ガスの組成と昇温速度を変えて実験・解析を行うことで、相転移の条件を明らかにする。
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