研究課題
2021年度は研究キックオフと研究環境整備,およびデータ収集を実施した.研究キックオフでは共同研究者(北海道大学)とZoom及びメールで研究方針の情報共有等を綿密に行った.また,基盤研究(B)の5年間の研究計画を自己精査し,研究活動内容と想定される成果の年次推移を想定した計画を立案した.さらに科研費補助金の総額と年次推移を再確認し,もっとも効率の良い研究費執行計画を立案した.実際に2021年度に実施した研究内容は次のとおりである.(1) 研究環境整備では,研究遂行に必要な計算機サーバーとRaidディスクシステムを導入し,コンパイラー等のソフトウェアを含めてセットアップを行った.そのとき,計算機サーバーに初期不良が発生したがすぐに修理・解消することができた.(2) 本研究課題では膨大な衛星データの解析を実施する.2021年度はAqua衛星搭載MODISセンサー観測データ,CloudSat衛星搭載CPRセンサーデータの収集を行い,予定していた全9年分のうちの6年分の衛星センサーデータ収集が終了した.(3) さらに,東海大で作成した雲識別アルゴリズム(CLAUDIA)および雲特性アルゴリズム(CAPCOM)のシステム・セットアップを実施し,おおよそ1年分について試験解析を行った.想定される結果が出力されることを確認した.(4) 一方の雲モデル計算データについては,北海道大学にて計算された全球数カ所の雲成長過程シミュレーション結果(LESモデルシミュレーションデータ)を東海大でアーカイブした.このシミュレーションデータについては来年度以降,衛星解析結果と比較する形で活用する予定である.以上は科研費申請時の研究計画調書において予定していた内容である.すなわち当初予定した内容についてはとくに障害なく進められることができた.
2: おおむね順調に進展している
科研費申請時の研究計画調書には年次研究計画について次のように記述した.「研究キックオフを行う。研究環境の整備と調査研究を早急に実施する。具体的には計算機システムセットアップ、衛星データと客観解析データの収集、データストレージ装置の設置を行うと共に、衛星データのクオリティーチェックと準備的処理を開始する。以上の準備が滞りなく進捗するようマネジメントを行うとともに、研究分担者との情報共有を行う。」以上の計画については,大きな問題は発生せず,予定通り実行することができた.2022年度は2021年度に準備した結果を受けてさらに研究を先に進める.
2021年度の研究実施では,おおよそ1年分の衛星データ解析を実施し,想定される結果が出力されることがわかった.2022年度はMODISセンサー,CPRセンサーの複合解析をさらに数年分進める.そして異なる気象場,異なるエアロゾル環境場におけるCFODD解析図(雲成長を観察できる新しい表現手法)を作成し,雲成長プロセスの環境依存性の調査を進める.2023年度は,ひまわり衛星をもちいた雲特性の解析に着手する予定である.ひまわり衛星は10分毎の観測であるため,雲特性の時系列変化が把握できるものと期待される.MODIS/CPR両センサーによる長期統計的なデータ解析による雲成長プロセスの観測と,ひまわり衛星による短時間時系列の雲成長プロセスを精査し,物理的に整合的な雲成長プロセスの解釈が可能であるか調査を進める予定である.2024年度から2025年度にかけてJAXA-ESAの合同ミッションであるEarthCARE衛星が打ち上げられる予定である.そこで,この2年度についてはEarthCARE衛星のデータ処理も進める予定である.2026年度には,雲ライフサイクルに関する仮説を発表し,雲粒併合効率等の雲成長を決定づける主要パラメタを明らかにしたい.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Bulletin of the American Meteorological Society (BAMS)
巻: 103 ページ: E873,E888
10.1175/BAMS-D-20-0148.1
Atmospheric Measurement Techniques (AMT)
巻: 15 ページ: 1967,1982
10.5194/amt-15-1967-2022
SOLA
巻: 17 ページ: 228,233
10.2151/sola. 2021-040.