研究課題/領域番号 |
21H01192
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川添 貴章 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40527610)
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研究分担者 |
井上 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (00291500)
肥後 祐司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (10423435)
大内 智博 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 准教授 (60570504)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マントル遷移層 / ウォズリアイト / 粘性率 / 応力 / 歪 / 超高圧高温変形実験 / 放射光 |
研究実績の概要 |
当該年度は、大型放射光施設SPring-8において超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物(ウォズリアイト)の粘性率測定を行った。さらに広島大学大学院先進理工系科学研究科に導入したマルチアンビル型高温高圧発生装置の立ち上げを行った。また、超高圧高温変形実験用の精密加工環境をアップグレードした。 超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定実験は、SPring-8のビームラインBL04B1においてD-DIA型超高圧変形装置を用いて、2021年4月16日から18日と6月21日から22日(2021年度前期)に計4回行った。これにより、異なる温度・歪速度・含水量条件においてマントル遷移層鉱物の粘性率測定実験に計4回成功した。この結果、マントル遷移層の粘性率の主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量依存性を明らかにするためのデータを得た。 2020年3月に学習院大学から広島大学大学院先進理工系科学研究科へマルチアンビル型高温高圧発生装置を移設した。当該年度は、比較的大きなセルアセンブリーの発生圧力とプレス荷重の較正に取り組んだ。この結果、14万気圧、1500℃において、マントル遷移層鉱物であるウォズリアイトの多結晶体を合成した。立ち上げたマルチアンビル型高温高圧発生装置を用いることにより、高温高圧下においてマントル遷移層鉱物の多結晶体を合成し、超高圧高温変形実験の出発試料として用いることが可能となった。また、高酸素分圧下においてマントル遷移層鉱物の熔融実験も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標は、(1)超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定を行うことと、(2)広島大学大学院先進理工系科学研究科に導入したマルチアンビル型高温高圧発生装置を立ち上げることであった。 このため、超高圧高温変形実験によるマントル遷移層鉱物の粘性率測定に取り組んだ。実験は計4回行い、成功実験は4回であった。これは、当初の計画通りである。 2020年3月には学習院大学から広島大学大学院先進理工系科学研究科へマルチアンビル型高温高圧発生装置を移設した。当該年度には、比較的大きなセルアセンブリーを用いて、マントル遷移層鉱物の多結晶体の合成を可能にした。これは、当初の計画通りである。 当該年度に当初予期していなかった深刻な問題は起きていない。2021年4月と6月の放射光実験では、新型コロナウイルス感染症に対して十分に対策した。 以上のことより、本研究課題は当初の計画通り「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、(1)超高圧高温変形実験の応力・歪データの解析、(2)実験回収試料の分析、(3)マントル遷移層鉱物の流動則の解析を進め、(4)得られた研究成果を学会・国際学術雑誌で発表する。 実験回収試料の分析では、走査型電子顕微鏡を用いて回収試料の粒径・粒界形状を測定・観察し、透過型電子顕微鏡を用いて転位組織を観察し、顕微赤外分光法により含水量を定量する。これらによりマントル遷移層の粘性率の主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量依存性を明らかにする。 得られた研究成果を学会で発表するとともに、論文原稿を執筆し、国際学術雑誌へ投稿する。
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