研究課題/領域番号 |
21H01196
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
肥後 祐司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (10423435)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超音波測定 / X線屈折レンズ / 高温高圧 |
研究実績の概要 |
本研究では下部マントルの圧力・温度条件下で、マントル構成鉱物の弾性波速度を高精度で測定するため、超音波エコーやX線回折・吸収イメージングの測定システムの開発を目指している。全マントルの化学組成の解明のためには、本研究で開発したシステムを使用した、マントル構成鉱物の弾性的データの蓄積が今後非常に重要となる。本研究では、超音波測定システム、X線回折測定用光学系、X線吸収イメージング用カメラなど、各要素技術の開発を実施してきた。2022年度(繰越により2023年度)は特にX線光学系に重点を置いた技術開発を実施した。 地球深部と同じ高温高圧環境下でのマントル鉱物の弾性波速度の精密測定のために、試料に加わる偏差応力の情報は非常に重要である。実験的に試料の偏差応力を測定するには、試料の全周X線回折データを収集し、デバイリングの歪みの解析によって、偏差応力を測定するのが一般的である。しかしながら、大容量プレスを利用した高圧実験では、偏差応力を高精度で制御できる反面、X線吸収が大きく測定時間が非常に長くなる欠点がある。 本研究では大口径のX線集光レンズを開発し、高速X線回折測定を実現するとともに、偏差応力と弾性波速度の関係についても明らかにする。 本年度は、大口径X線レンズの作成をおこない、またX線レンズの光軸調整用の精密ステージの開発も実施した。SPring-8の2024A期(4~7月)に評価実験を実施予定であり、その後詳細な調整を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本件、X線屈折レンズの作製は、本研究全体にとって非常に重要なパーツの一つであり、2022年度にドイツにおいて製作が予定されていたが、ウクライナ‐ロシア問題に伴う電力不足により、完成が一年遅れた。また、これによりSPring-8における放射光X線を利用した高圧実験の予定にも後れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度初頭にSPring-8のBL04B1において、X線屈折レンズの集光特性の評価を実施する。この評価結果を基に、高温高圧実験の実施計画を立て、SPring-8の2024B期の研究課題に応募する。無事、研究課題が採択された際には、マントル構成鉱物の高温高圧下での弾性波速度測定と偏差応力の同時測定を実施する。
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