研究課題/領域番号 |
21H01209
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
奥田 覚 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (80707836)
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研究分担者 |
岡本 和子 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (40710265)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生体力学 |
研究実績の概要 |
多細胞から成る器官の形成過程は,ミクロな分子・細胞レベルの力発生により駆動される動的な変形過程であり,マクロな組織レベルにおいて頑強に制御されている.この力学過程の頑強性は正常な胚発生や代謝を実現し,また,その破綻は先天性奇形や腫瘍などの疾患を引き起こす.近年,器官形成の力学過程において,アクトミオシン等による分子・細胞レベルのアクティブな力発生が注目されている.特に,個々の分子・細胞の力発生は,多数の分子間・細胞間の相互作用を介して時空間的に協調し,マクロな組織の機械特性をダイナミックに変化させる.一方で,組織の機械特性の異常は,器官の発生異常や機能不全を引き起こす.そのため,頑強な器官形成では,発生過程の進行に伴う力学場の変化に応じて,マクロな組織変形がミクロな分子・細胞の動態へフィードバックされ,組織の機械特性が適応的に制御されていると考えられる.そこで本研究では,三次元多細胞組織のアクティブな機械特性とその適応的な制御機構を明らかにすることを目的とする. 本年度は,昨年度に最適化された培養条件、サイズ、組成が一様な立体組織を用いて、組織の弾塑性を定量的に計測した。また,昨年度に開発した評価関数と画像解析技術を用いて、顕微鏡観察で得られた画像データから,組織や細胞の変形量を定量化した。さらに、細胞骨格を標識し、力学的な摂動下におけるアクチン細胞骨格の空間分布や時間変化を観察した.加えて,アクチン細胞骨格に関連する因子を阻害し、アクチン細胞骨格の制御が組織の弾塑性に果たす役割を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、立体培養組織を対象として力学試験を実施し、機械特性の定量化に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに準備を整えた力学試験と解析手法をさらに利用し、三次元多細胞組織のアクティブな機械特性と力学環境に対する応答性、特に、機械特性の制御のカギとなるアクチン細胞骨格を制御する上流の制御機構を明らかにする.
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