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2021 年度 実績報告書

生体内で駆動可能な近赤外波長選択型のソフトオプトメカニカルシステムの創出

研究課題

研究課題/領域番号 21H01239
配分区分補助金
研究機関熊本大学

研究代表者

渡邉 智  熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80579839)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード近赤外光 / 光熱変換 / 波長選択 / 希土類 / マランゴニ流 / ナノシート
研究実績の概要

三つの研究目的である「(1)希土類光熱変換材料の開発」、「(2)希土類光熱変換デバイスの開発」、「(3)マイクロソフトオプトメカニカルシステムの開発」のうち、主に(1)と(2)を行った。
(1)希土類光熱変換材料の開発:希土類錯体のリニア配位子を用いて直鎖の希土類配位高分子を合成した。精製が必要であるが、サイズ排除クロマトグラフィーにより分子量1万Da程度のものが形成した。これとは別に希土類水酸化物と界面活性剤を複合した層状結晶を作製し、それを溶媒剥離した希土類水酸化物ナノシートを作製した。厚さ数ナノメートル、一辺がサブマイクロメートルサイズの希土類水酸化物ナノシートが得られたことを原子間力顕微鏡観察で明らかにした。温度、濃度、反応時間などを変えることで、ナノシートの前駆体となる層状結晶の収量やモルフォルジーが変化した。層状結晶の形が変わると、ナノシートの面内の形状が変わる可能性を示す観察結果がいくつか見られた。
(2)希土類光熱変換デバイスの開発:アクリルアミドもしくはシリコーンで作製したポリマー船に酸化ネオジムと酸化イッテルビウムを異なる場所に組み込んだ。この船を水面に浮かべて波長の違う近赤外光を照射すると、水面に異なる方向のマランゴニ流が生じ、船を異なる向きに動かすことができた。船は形と希土類の埋め込む位置によって、直線もしくは回転方向を変えられる。船の濡れ性、船を浮かべる容器の形、船の形などを変えることで、マランゴニ流の大きさが変化した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の目標であったマランゴニ推進船を作製し、移動方向の制御を示すことができた。これにより、発熱材料の開発や他の光熱変換デバイスの試作などに取り組むことができた。

今後の研究の推進方策

引き続き、(1)希土類光熱変換材料の開発、(2)希土類光熱変換デバイスの開発、(3)マイクロソフトオプトメカニカルシステムの開発を進める。
(1);希土類光熱変換材料の開発:直鎖の希土類配位高分子の精製方法を確立する。その後、感温性高分子と複合させて、光熱変換デバイスを作製する。希土類ナノシートの収率が10%程度と低いために向上させる。また、前駆体となる層状結晶のサイズを制御して、希土類ナノシートの面内サイズをできるだけ揃ったものにする。
(2)希土類光熱変換デバイスの開発:開発した希土類高分子やナノシートを用いて光熱変換デバイスを作製する。デバイスとして感温性高分子と組み合わせたメカニカルアクチュエータを作製する。フィラーとしての混合と違い、透明度の高いメカニカルアクチュエータの形成を期待している。そのほかに標準的な組み合わせの材料を用いてマランゴニ推進船およびメカニカルアクチュエーターの微細加工を行い、マイクロメートル領域での波長選択応答のデバイスを作製する。
(3)マイクロソフトオプトメカニカルシステム:メカニカルアクチュエータとマランゴニ推進船を組み合わせて水面を自由に動く船もしくは物体を輸送するシステムの作製を行う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Multimotion of Marangoni Propulsion Ships Controlled by Two-Wavelength Near-Infrared Light2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Satoshi、Arikawa Kazuki、Uda Makoto、Fujii Syuji、Kunitake Masashi
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 37 ページ: 14597~14604

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.1c02222

    • 査読あり
  • [学会発表] 有機半導体分子の相図,Gibbs吸着,そして液相結晶成長2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智
    • 学会等名
      コロイド界面化学若手WEBセミナーシリーズ2021(第1回)
    • 招待講演
  • [学会発表] Soft opt mechanical devices consisting of photothermal conversion rare-earth nanoparticles with wavelength selectivity2021

    • 著者名/発表者名
      S. Watanabe
    • 学会等名
      第 72回コロイドおよび界面化学討論会(国際シンポジウム)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 有機ハロゲン化鉛ペロブスカイト材料の相図と単結晶成長2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智,井野内駿,伊達天祐,國武雅司
    • 学会等名
      第72回コロイドおよび界面化学討論会
  • [学会発表] 相図に基づく有機ハロゲン化鉛ペロブスカイト材料の単結晶作製法2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智,井野内駿,伊達天祐,國武雅司
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] キャピラリーイオン液体中でのπ共役低分子のエラスティック単結晶の作製2021

    • 著者名/発表者名
      小野恵胡,渡邉智,林正太郎,國武雅司
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 両連続マイクロエマルション薄層ゲルを用いたスタンドアローン電気化学分析システム2021

    • 著者名/発表者名
      國武雅司,橋本 妃菜胡, 渡邉智, 鎌田 智之, 加藤 大, 丹羽 修, 西見 大成
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 近赤外2波長選択応答マランゴニ推進船の創出2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智,有川和希,藤井秀司,國武雅司
    • 学会等名
      令和3年度九州地区高分子若手研究会・夏の講演会
  • [学会発表] 相互侵入ポリマーネットワークゲルによる近赤外2波長選択応答アクチュエータ2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智,有川和希,國武雅司
    • 学会等名
      第70回高分子学会年次大会
  • [学会発表] エラスティック単結晶を形成するための濃度-温度相図の作成2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智,小野恵瑚,林正太郎,國武雅司
    • 学会等名
      第68回応用物理学会 春季学術講演会

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公開日: 2022-12-28  

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