研究課題/領域番号 |
21H01283
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡田 昌史 東京工業大学, 工学院, 教授 (60323523)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人機械協調系 / 軌道アトラクタ / 人の運動支援 / 人の力学モデル / Assist as needed / 衝撃緩和 / 機構の特異性 |
研究実績の概要 |
(1) 人の運動訓練支援装置の設計(立ち上がりの補助):2022年度の成果を発展させ,障がいの部位の違いによる手を引く動作を求めた.評価関数を関節のパワー,トルク,角速度で表し,障がいの部位に大きな重みを設定することで,それぞれ障がいの部位が異なる運動を求めた.また,重みをひとつのパラメータで表し,運動を時間とパラメータの多次元空間における面で関数近似し,人の姿勢,手先の力を観測して手を引くロボットの軌道を変化させる制御アルゴリズムを提案した. (2) 道具の準最適化:ホッピング運動を対象とし,人の上下移動量,移動速度,発生力を評価関数とし,離陸するまでの時間とホッピングの剛性を設計パラメータとして評価関数を最小化する運動を求めた.これは,疲労しないよう複雑な力制御を必要とすることから熟練者向きの運動に相当する.一方,これに人が動き出すタイミングのずれを考慮し,これが大きくても所望のホッピング高さが維持し続けられるよう,離陸するまでの時間とホッピングの剛性の最適化を行った.これは,初心者用の運動に相当する.これらを比較し,初心者用は大きな力を短時間で入力する運動となり,ホッピングの剛性も大きくなる結果を得た.すなわち,大きな力を必要とするが,力の時間変化は単純であり,高い技術は必要としない結果と言える.さらに,ホッピングロボットを試作し,初心者用のホッピング(剛性),動作を用いることで,人の動作のタイミング誤差があるにも関わらずホッピング高さの変化が小さいことを示した. (3) 環境との接触における衝撃緩和機構の開発:体重60kgの人が30cmの高さから落下すると設定し,強度計算により衝撃緩和機構の試作を行った.これは,高齢者などがベッドから落下した際に,床で衝撃を吸収することを想定している.2回の試作を通して,人が飛び乗っても衝撃を感じないよう動作する機構が設計できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)について,ロボットの試作までを終えて実験検証を残すのみまで到達した.(2)について,ホッピングについては1つの成果まで到達した.(3)については,試作機から新たな知見を得て,次の機構の設計に取り組む指針を見出した.
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今後の研究の推進方策 |
(1) 人の運動訓練支援装置の設計(立ち上がりの補助):2023年度の成果において,人の障がいの部位に合わせた運動の設計が行えた.人の立ち上がり動作の補助は,人により運動の速さが異なるため,人に合わせて補助器を動かす必要があるが,今後は2022年度の成果を活用し,時間の拘束を持たない制御測,すなわち,軌道アトラクタを用いた制御へ展開する. (2) 道具の準最適化:感度解析を用いることで,誤差に対してロバストな動的運動の設計が行えることが分かった.今後は,道具のみならず運動も最適化することで,誤差に対してロバストな制御系を設計する.誤差に対してロバストであることは,初心者向きの運動の設計であり,人への教示に活用する. (3) 環境との接触における衝撃緩和機構の開発:これまでに,主に運動中の運動量の移動に焦点を当てていたが,人の落下を通してエネルギーの流れに注目する指針を得た.運動量は最終的に散逸させる必要があるが,エネルギーは機構に蓄えることができるので,このコンセプトから新たな機構の開発・設計を行う.
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