研究課題/領域番号 |
21H01335
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
當麻 浩司 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (40732269)
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研究分担者 |
三林 浩二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40307236)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 免疫センサ / 薬剤 / モニタリング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、血中濃度と相関のある間質液中の薬剤濃度を、皮膚に貼り付けることで極低侵襲かつin vivoに連続計測する「マイクロニードル型光免疫センサ」を開発することである。薬剤濃度変化をより連続的に捉えることで、個別に薬剤投与量の微調整を可能にし、最小の副作用と最大の薬効が得られる次世代治療薬物モニタリング(TDM)へ繋がる技術にむすびつくと考え、研究を進めてきた。 2022年度は、前年度に引き続き(I)間質液を採取するマイクロニードルの作製を行った。はじめにマイクロニードルについては座屈しないアスペクト比(縦横比で1以上)の形状で中実もしくはホロー型の4×4個の針から成るマイクロニードルアレイを設計した。また材料として光架橋性高分子を検討した。前年度に膨潤と乾燥を繰り返す中で徐々に分解が起こっていることが示唆されていたため、ポリマー硬化が不十分であったことが原因と考え、紫外線照射時間を延ばし検討を行った。その結果、繰り返しの膨潤と乾燥を行える回数は増えたものの、依然として分解が起こっている様子が見られた。また、22年度には治療薬物としてバンコマイシン(VCM)をターゲットとして、(II) VCM連続測定のための免疫センサの開発も行った。長距離伝搬型表面プラズモン(LRSP)と VCMの認識部位(D-alanyl-D-alanine)とAuとの結合部位(Cys)を有するペプチドアプタマーを合成し、そのアプタマーをセンサ感応部に固定することで、 VCM用LRSPアプタセンサの感応部を作製した。次に本センサをVCMの測定に供したところ、VCMの濃度に依存したセンサ出力と治療有効濃度を含む定量特性、さらにVCMに対する高い選択性やリアルタイム測定の可能性が示された。以上のように、引き続き開発や高性能化に取り組んでいくが、当該年度に予定していた研究目的は概ね達成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請課題の目的は、血中濃度と相関のある間質液中の薬剤濃度を、皮膚に貼り付けることで極低侵襲かつin vivoに連続計測する「マイクロニードル型光免疫センサ」を開発することである。2022年度では(I)間質液を採取するマイクロニードルの作製と(II)バンコマイシン(VCM)半連続測定のための免疫センサの開発を計画していた。これに対し申請者は、マイクロニードの設計や実際にPDMSの逆鋳型を用いて光架橋性高分子のマイクロニードルを改良し、針状の突起を観察した。さらに、長距離伝搬型表面プラズモンアプタセンサを開発し、VCMの高感度な連続測定の可能性を示し、2022年度の目標を概ね達成した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度で得られた結果を基に、引き続き(I)間質液を採取するマイクロニードルの作製・改良を行っていく。特に光架橋性のマイクロニードルで見られた分解について、原因の調査と材料の再選定を検証していく必要がある。さらに(II)で開発したバンコマイシン(VCM)用長距離伝搬型表面プラズモンアプタセンサの性能向上と、マイクロニードルとの融合の方法を検討・推進していく。将来的には、本研究で確立した要素技術を基礎とし、間質液中のVMC濃度変化を連続的に捉えるマイクロニードル型センサを構築し、個別に薬剤投与量の微調整を可能にし、最小の副作用と最大の薬効が得られる次世代TDMの確立へ応用・展開していきたいと考えている。
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