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2022 年度 実績報告書

可搬型生体用デジタルEPRイメージングシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H01341
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

赤羽 英夫  大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (00552077)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードEPRイメージング装置 / デジタルEPR / 分子イメージング / In vivo 生体イメージング / アレイ型マグネット
研究実績の概要

今年度は、デジタルEPR分光技術を駆使した操作性に優れたコンソールとEPR用マグネットの開発を進めた。測定対象であるマウスなどの小動物の動きにより、小動物を挿入した共振器において反射波が発生し、受信部を飽和させる問題がある。この現象を軽減するために、コンソールに反射波抑制制御機構を実装している。この自動制御の安定動作には、反射波の位相調整が必要であり、これまで手動で入力していた。反射波抑制制御で用いられる制御信号は、コンソールにおいてAD変換された反射波から位相シフトを行い生成される。そこで、反射波の位相シフトを最適化する方法として、2段階の方法を提案した。まず送信波のRF周波数を一定に増加させるとともに、受信した反射波の位相シフトを増加させ、反射波抑制制御が動作する周波数と反射波の位相シフト値を同時に粗く探索する。次にRF周波数を固定した条件下で反射波の位相シフト値をEPRスペクトル取得毎に変調し、その時の反射波の値が少なくなるように位相シフト値へフィードバックする方法を採用した。その結果、テスト試料を用いたEPR計測において、自動調整による位相シフト値の最適化が可能となった。また、RF周波数が変動した場合に位相シフト値も変動することを確認した。EPRイメージング用のマグネットについては、ネオジウム磁石片の配置方法を変更することで、均質な磁場の領域を広げることが可能となった。具体的には、正方形を多数のより小さい正方形にで分割し、その頂点に磁石片を配置することで平面に均等に磁石片を並べる方法から、六面体を多数の正三角形で分割した頂点に磁石片を配置する方法に変更した。また、外側に配置している磁石片の長さを変更することにより、EPRマグネット中央に均質な磁場領域が拡大することを磁場シミュレーションにより検証し、実際にその構造を有するEPR用マグネットの試作を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定通りに進展しているため。

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き操作性に優れたイメージング用コンソールの開発を実施する。測定対象であるマウスなどの小動物を共振器に挿入した場合、 体重や測定部位の違いにより共振周波数がずれる問題がある。そのため、測定対象を変更すると送信周波数を調整する必要がある。現状では送信周波数を掃引しながら共振器で生成する反射波の抑制制御を作動させ、受信用ADCにおける入力信号がゼロとなる送信周波数を探す方法を採用している。しかし、調整可能な周波数範囲に共振周波数が入っていない場合は、この測定方法では周波数の探索に時間がかかり、調整不可との判断が難しい。最終的に共振器の接続をEPRI装置から切り離し、ネットワークアナライザに変更することで反射特性を取得し、共振周波数が 調整範囲内にないことを確認する。しかし、この作業は操作性に優れていない。そのため、共振器の接続を変更することなく共振器の反射特性を取得することが望ましい。現状では、受信アンプのゲインが60dBと大きいことから、反射特性を取得する際に入力信号が受信アンプにおいて飽和する問題がある。そこで、受信アンプをバイパスする回路や、受信アンプの動作を停止することで、反射波を飽和せずに測定できるように RFブリッジ回路を改良する。昨年度に行ったマウス腹部イメージングにおいて、共振器の位置による受信感度の違いが見られた。そこで、RFシミュレータを用いた磁場解析を行うことで、共振器のコイル部分に発生する磁場分布を調べ、コイルの構造を最適化する。また、実際にテスト用試料を用いてラジカル分子の分布を画像化し、磁場解析の結果と比較することを考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Effect of relative configuration of TEMPO-type nitroxides on ascorbate reduction2023

    • 著者名/発表者名
      Risa Azuma, Toshihide Yamasaki, Miho C. Emoto, Hideo Sato-Akaba, Kohei Sano, Masayuki Munekane, Hirotada G. Fujii, Takahiro Mukai
    • 雑誌名

      Free Radical Biology and Medicine

      巻: 194 ページ: 114~122

    • DOI

      10.1016/j.freeradbiomed.2022.11.033

    • 査読あり
  • [学会発表] 新しい可搬型EPRI装置を用いた腫瘍内レドックスイメージングによる放射線治療応答の非侵襲的解析2022

    • 著者名/発表者名
      加藤千博, 安井博宣, 赤羽英夫, 藤井博匡, 江本美穂, 永根大幹, 山下匡, 稲波修
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第65回大会
  • [学会発表] 可搬型EPRI装置を用いた腫瘍内レドックスイメージングによるがん治療応答解析2022

    • 著者名/発表者名
      加藤千博, 安井博宣, 赤羽英夫, 藤井博匡, 江本美穂, 永根大幹, 山下匡, 稲波修
    • 学会等名
      第165 回日本獣医学会学術集会
  • [学会発表] Sub-GHz CW-EPRにおける送信波位相雑音の検出感度への影響2022

    • 著者名/発表者名
      赤羽英夫
    • 学会等名
      第61回電子スピンサイエンス学会年会
  • [学会発表] 卓上型EPRイメージング装置によるマウス胸腹部の三次元画像2022

    • 著者名/発表者名
      江本美穂, 赤羽英夫, 藤井博匡
    • 学会等名
      第61回電子スピンサイエンス学会年会
  • [学会発表] 可搬型EPRI装置を用いた非侵襲的レドックスイメージングによる同一個体でのがん治療応答変化の解析2022

    • 著者名/発表者名
      加藤千博, 安井博宣, 赤羽英夫, 藤井博匡, 江本美穂, 永根大幹, 山下匡, 稲波修
    • 学会等名
      第61回電子スピンサイエンス学会年会
  • [学会発表] スフィンゴミエリン合成酵素2の虚血性筋疾患における機能2022

    • 著者名/発表者名
      水垣ひなの, 永根大幹, 赤羽英夫, Kmiec Maciej, Kuppusamy Periannan, 水野谷航, 安井博宣, 稲波修, 相原尚之, 上家潤一, 山下匡
    • 学会等名
      第61回電子スピンサイエンス学会年会
  • [学会発表] Development of Compact EPR Imaging System for Biological Applications2022

    • 著者名/発表者名
      Hideo Sato-Akaba, Miho C Emoto, Hirotada G Fujii
    • 学会等名
      Asia-Pacific EPR/ESR Symposium 2022
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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