研究課題/領域番号 |
21H01342
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹山 瑛由 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (60636249)
|
研究分担者 |
田上 周路 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (80420503)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 磁気マーカー / 磁気粒子イメージング / センサアレイ / 傾斜磁界 / 逆問題解析 / 順問題解析 / 空間フィルタ |
研究実績の概要 |
ナノメートルサイズの強磁性体(磁気ナノ粒子)を高分子で被覆し、その表面に検査試薬や薬剤等を結合したものは磁気マーカーと呼ばれている。この磁気マーカーを体内の疾患部に蓄積させ、その位置と量を体表面から検出し可視化するイメージング技術(磁気粒子イメージング)は、新しい体内診断技術として期待されている。現状の課題として、人体に磁気粒子イメージング法を適用しようとすると非常に強い傾斜磁場が必要であり、人体内診断が困難であることが挙げられる。そこで本研究では、高感度磁気センサアレイによる磁気マーカーイメージングを行うことにより、強い傾斜磁場を用いずとも高感度化かつ高分解化を達成させ、その問題を解決することを目標としている。 本年度は、磁気マーカーの位置推定を行う逆問題解析手法として、非負最小二乗法(NNLS)の前に脳波・脳磁計測で用いられている空間フィルタ(sLORETA)を前処理として用いることで、位置と鉄含有量が異なる磁気ナノ粒子サンプルが複数あったとしても正しく推定できることを示した。また、逆問題解析手法だけでなく、理論的知見に基づいて順問題解析手法の改良に着手し、実験に基づいて得られる順問題解析の結果よりも明瞭な結果を得ている。 新たな高感度磁気センサーの計測環境を整える等の準備を進め、実際に、その高感度磁気センサーを用いて磁気ナノ粒子からの磁化応答ができるか否かの基礎検討を行った。その結果、磁気ナノ粒子からの磁化応答を検知できることが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、磁気ナノ粒子イメージングにおける信号処理技術の高度化と、新たな高感度磁気センサーの応用の基礎検証であった。前者については、逆問題解析においてsLORETAとNNLSの組み合わせ手法の有効性を示し、さらに、順問題解析の改良に着手できていること、また、後者については基礎検証の結果磁気ナノ粒子からの磁化応答を検知できたことから、当初の計画を達成したといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
順問題解析を中心に信号解析技術の更なる高度化を行い、また、計測システム全般の実験装置の計測の安定度を高め、マルチセンサーを用いた磁気粒子イメージングシステムの高感度化を達成する。並行して、新たな高感度磁気センサーの磁気ナノ粒子イメージングに向けた準備を行う。
|