研究課題/領域番号 |
21H01348
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三平 満司 東京工業大学, 工学院, 教授 (00196338)
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研究分担者 |
中浦 茂樹 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (20323793)
伊吹 竜也 明治大学, 理工学部, 専任講師 (30725023)
舩田 陸 東京工業大学, 工学院, 助教 (50844247)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 制御工学 / 機械力学・制御 / UAV |
研究実績の概要 |
本研究では,マルチロータ型の無人航空機(UAV)に対して,運動性能解析に基づいた新規の構造設計および制御理論の構築を目的としている.この達成に向けて,(1)ドローンの運動性能評価指標の考案とその解析に基づく最適構造設計手法の提案,(2)運動性能解析に基づく可変構造ドローンの開発と構造変化過程の計画,(3)設計されたドローンの構造に対する最適制御手法の構築に取り組んだ. まず,(1)に関して,ドローンが安定して飛行するために必要となる条件を導出した.特に,すべてのロータが同一方向に向いた一般的な構造のドローンへの条件と比して,運動特性や耐故障性を向上させるための特殊構造をもったドローンに対しては条件が複雑になることを明らかにした.この問題に対して,すべてのロータが傾斜しつつ同一方向に回転するという特殊なドローンを例として,安定飛行が可能となる要件を求めた.また,解析通りの安定した飛行が実現できることを実機により確認した.つぎに,(2)に関して,安定飛行を可能にするための条件を満たしつつ,どのように構造を変えるべきかを計画する手法を提案した.ここでは飛行不可能となる構造と機構的に実現できない構造を避けつつ,目標とする最終構造に到達する軌道をオフラインで計画した.最後に,(3)に関しては,設計した特殊構造を有したドローンに対する制御手法を提案し,実際に飛行させることでその有用性を検証した.また,設計したドローン複数台を飛行させる際には,互いのプロペラが発生させる風に巻き込まれないように衝突回避をする必要がある.本研究では,プロペラが風を発生させる方向に細長い楕円体としてドローンを模擬し,その楕円体に対する衝突回避則を構築することで,プロペラの風に影響されにくい衝突回避を実現した. 以上の成果は,国際・国内学会へ投稿中,もしくは発表済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題(1)に関しては,当初の予定通り,特殊な構造を有するドローンに対して,安定飛行を可能とする条件を導出した.さらに,提案手法の有効性を,製作した実機を飛行させることで確認ができた点は,計画以上の進展といえる.課題(2)に関しても,当初の予定通り,可変構造ドローンに対するオフラインでの軌道計画手法を構築できた.課題(3)に関しては,前述の特殊構造ドローンを用いた制御則の検証ができており,順調に進んでいる.また,当初の計画にはなかった,プロペラが発生させる風の影響も加味した衝突回避則も提案できていることから,当初の計画以上に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,まず「ドローンの運動性能評価指標の考案とその解析に基づく最適構造設計」を目的として,ロータが傾いたドローンに焦点を当てて,幾何学的に評価が容易な指標の構築を目指す.今年度までの研究で,一部の特殊構造をもつドローンに対しての指標は求められたため,それを一般化しつつ簡易な表現形式を考察することになる.ロータを傾斜させることは,運動特性の向上や対故障性の向上に役立つため,本課題の解決はより高性能なドローンを設計するための指針を与えるという意味で重要な研究対象となる. つぎに,「運動性能解析に基づく可変構造ドローンの開発と構造変化過程の計画」を目的として,ドローンが実際にタスクを実施するときに,どのような形状推移をするのが望ましいのかを考察する.具体的には,前年度までの研究で構築した,ドローンが安定して飛行し続けられるドローン構造の変形軌道に加えて,その変形が所望の運動特性やタスク達成に適しているかを評価する. 最後に,「設計されたドローンの構造に対する最適制御手法の構築」を実現するために,これまでの研究で設計した特殊構造をもつドローンを例として,制御手法を構築する.特に,提案したドローン構造がもつ頑健な対故障性を活かす制御手法の構築に注力する.
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