研究課題
本研究では、光―電気信号変換器としての励起子トランジスタを、代表者が開発した新材料 ZIONにより実現するとともに,現在ブラックボックスとなっている励起子輸送の機構解明を行うことを目的とした.実用化に耐え得る励起子トランジスタ実現のためには,当然,デバイスグレードの材料を用意する必要がある.本研究では,励起子研究の初期段階としてまずは高品質プロセス技術の確立が重要との思想のもと,高精度フラックス制御を用いたスパッタエピタキシー法を開発するとともに,励起子輸送については,外場がない場合の拡散過程からそのメカニズム解明に着手した.成果としては,ターゲットからの各種原子の蒸発レート、基板の面極性、表面モフォロジ―、基板温度、等各種キーパラメータの精密制御により,①原子レベルで急峻なZION/ZnOヘテロ界面の形成,②ZION/ZnO 歪量子井戸の形成,③励起子トランジスタにおけるゲートへの光照射によるスイッチング,という目標を達成した.さらに、当初の目標であった、10^17 cm^-3以下の低残留キャリア密度も実現した。これはデバイス実用化に向けた大きな成果と言える。励起子の拡散機構については,電気極性ならびに質量の異なる粒子が同方向に移動する「プラズマ中での両極性拡散」に着目し,この物理が励起子の拡散過程に適用可能かの検証を行った.その結果,ZION中では,伝導帯の電子有効質量が価電子帯の正孔有効質量に比べ小さく,外場が存在しない場合,両極性拡散における粒子輸送に類似したキャリア輸送が行われていることが分かった.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of Applied Physics
巻: 134 ページ: 163301-1~11
10.1063/5.0160228
Materials Science in Semiconductor Processing
巻: 162 ページ: 107503~107503
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https://plasma.ed.kyushu-u.ac.jp/~inorganic/index.html