研究課題/領域番号 |
21H01380
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 昭 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (70510410)
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研究分担者 |
尾辻 泰一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40315172)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | テラヘルツ検出 / グラフェン / HEMT / プラズモン |
研究実績の概要 |
回折格子ゲート構造プラズモニックTHzディテクタにおける三次元整流効果の解明を目的として、第一年次であるR03年度は以下の研究項目を遂行した: ①InGaAsチャネル三次元型プラズモニックTHzディテクタ 第一に、アクティブ領域を20×20μm2から200×200μm2まで拡大させてデバイスを試作し、THzパルス検出測定を行なった結果、出力光起電圧を一桁程度増大させることに成功した。第二に、出力光起電圧パルス波形に現れる100ナノ秒オーダーのテール成分が、InGaAsチャネル層-ゲート電極間のInAlAsキャリア供給層に存在するドナー準位に起因することを突き止め、キャリア供給層をチャネル層-ゲート電極の外側に配置する逆HEMT構造を採用することにより、テール成分を除去することに成功した。第三に、逆HEMT構造をベースとして、バリア層材料InAlAsからInPに変更した構造をバンド構造シミュレーションによって設計し、ヘテロエピ基板の試作を進めた。第四に、流体力学方程式とマクスウェル方程式を組み合わせたデバイスシミュレータを構築し、同プラズモニックTHzディテクタにおけるプラズモン・ポラリトン励起と非線形整流効果の理論解析を可能にする研究基盤を形成した。 ②グラフェンチャネル三次元型プラズモニックTHzディテクタ 第一に、SiNゲート絶縁膜を持つ二重回折格子ゲート構造グラフェンチャネルFETを試作してTHzパルス検出測定を行ない、ゲート電極から出力読み出しが可能であることを実験的に示した。第二に、同ディテクタにおいてはプラズモン流体非線形性整流効果による光起電圧の生成と同時に、光熱電効果によっても光起電圧が生成され、それらの時間応答が10ピコ秒オーダーと非常に速いことを実験的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
R03年度は、計画どおり本研究を遂行するために必要な研究基盤の形成が進んだ。加えて、InGaAsチャネル三次元型プラズモニックTHzディテクタに関して、三次元整流効果の解明を進める上で大きな障害となっていたテール成分の原因を特定し、除去できたことは大きな進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、計画どおりに本年度に形成した研究基盤をさらに発展させるとともに、三次元整流効果の解明を進め、それを活用した検出感度向上の実証を図る。InGaAsチャネル三次元型プラズモニックTHzディテクタについては、三次元整流効果のモデルを構築し、バリア材料・層厚・ドーピング密度を構造パラメータとしてシミュレーションを行ない、三次元整流効果を活用したTHzディテクタの設計論構築を進めるとともに、デバイス試作・評価によって実験実証を進める。グラフェンチャネル三次元型プラズモニックTHzディテクタについては、上述のモデルを転用して、三次元整流効果を強く発現させるための二次元材料の選定を進めるとともに、デバイス試作・評価によって実験実証を進める。
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