研究課題/領域番号 |
21H01398
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
津田 裕之 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90327677)
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研究分担者 |
斎木 敏治 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70261196)
桑原 正史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 上級主任研究員 (60356954)
河島 整 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 総括研究主幹 (90356840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 相変化材料 / 光スイッチ / 光導波路 / シリコンフォトニクス / 光通信 |
研究実績の概要 |
シリコン光導波路にGST(GexSbyTez)、GSST(Ge2Sb2Se5-xTex)を積層した場合の複素屈折率変化に伴う伝搬光の位相変化をシミュレーションにより明らかにした。各々の結晶状態及びアモルファス状態における複素屈折率を、7.27+1.27i、4.33+0.129i、5.35+0.366i、3.19+0.0012iとする。シリコン細線導波路の場合、厚さ20 nm、長さ500 nmのGST薄膜は、結晶状態の損失4 dB、アモルファス状態の損失0.3 dBで180°の位相変化が得られる。一方、厚さ20 nm、長さ5000 nmのGSST薄膜は、結晶状態の損失4 dB、アモルファス状態の損失0.15 dBで180°の位相変化が得られる。シリコンリブ導波路の場合、厚さ20 nm、長さ500 nmのGST薄膜は、結晶状態の損失10 dB、アモルファス状態の損失0.6 dBで180°の位相変化が得られる。一方、厚さ25 nm、長さ5000 nmのGSST薄膜は、結晶状態の損失8 dB、アモルファス状態の損失0.35 dBで180°の位相変化が得られる。シリコンリブ導波路構造及び細線導波路において、シリコンフォトニクスプロセスで利用するTiN加熱ヒータを近傍に配置した場合の昇温特性をシミュレーションにより明らかにした。5.0 x 50 μmのヒータを2本平行に導波路から水平方向に1 μm離して配置し、7.3V、27mAの電流を注入して、0.2 Wの熱を生じさせる。いずれも40-50 μsで1100 K以上に昇温する。この温度は、結晶→アモルファス相転移に必要な融点よりも高いので、スイッチが動作する条件を一部満たしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シリコン光導波路にGST(GexSbyTez)、GSST(Ge2Sb2Se5-xTex)を積層した場合の複素屈折率変化に伴う伝搬光の位相変化をシミュレーションにより明らかにした。各々の結晶状態及びアモルファス状態における複素屈折率を、7.27+1.27i、4.33+0.129i、5.35+0.366i、3.19+0.0012iとする。シリコン細線導波路の場合、厚さ20 nm、長さ500 nmのGST薄膜は、結晶状態の損失4 dB、アモルファス状態の損失0.3 dBで180°の位相変化が得られる。一方、厚さ20 nm、長さ5000 nmのGSST薄膜は、結晶状態の損失4 dB、アモルファス状態の損失0.15 dBで180°の位相変化が得られる。シリコンリブ導波路の場合、厚さ20 nm、長さ500 nmのGST薄膜は、結晶状態の損失10 dB、アモルファス状態の損失0.6 dBで180°の位相変化が得られる。一方、厚さ25 nm、長さ5000 nmのGSST薄膜は、結晶状態の損失8 dB、アモルファス状態の損失0.35 dBで180°の位相変化が得られる。シリコンリブ導波路構造及び細線導波路において、シリコンフォトニクスプロセスで利用するTiN加熱ヒータを近傍に配置した場合の昇温特性をシミュレーションにより明らかにした。5.0 x 50 μmのヒータを2本平行に導波路から水平方向に1 μm離して配置し、7.3V、27mAの電流を注入して、0.2 Wの熱を生じさせる。いずれも40-50 μsで1100 K以上に昇温する。この温度は、結晶→アモルファス相転移に必要な融点よりも高いので、スイッチが動作する条件を一部満たしている。
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今後の研究の推進方策 |
GST(GexSbyTez)薄膜及びGSST(Ge2Sb2Se5-xTex)薄膜の組成、膜厚を変えて系統的に相変化特性を評価する。光パルス照射によるダイナミックな温度変化シミュレーションによる確認と、基板材料の選択を行う。また、新規に結晶間相転移が低温で高速に可能なMnTeも検討材料に加える。これらの知見に基づいて、光スイッチの設計を行い、ベース回路の試作を行う。また、交差部に相変化料を配置する光三端子構造についても検討を加える。別の物性解明アプローチとして、フェムト秒レーザパルスによる非熱的アモルファス化(電子励起トリガー)を誘起して結晶化速度の評価を実施し、相変化メカニズムを検討する。
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