研究課題/領域番号 |
21H01400
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
岩崎 拓哉 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (50814274)
|
研究分担者 |
早川 竜馬 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (90469768)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | グラフェン / 六方晶窒化ホウ素 / モアレ超格子 / 量子ホール効果 / 量子ドット / 単一電子輸送 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、スピンおよびバレー自由度を利用する新奇原理で動作する素子の開発を目的としている。これを実現するために、二層グラフェン/六方晶窒化ホウ素(hBN)モアレ超格子を基礎とした、量子ドット複合構造デバイスの設計・作製に取り組んでいる。 初年度は実験条件の最適化および測定装置の立ち上げに注力した。デバイス作製プロセスにおいて、電子線リソグラフィ、プラズマエッチング、電子線蒸着等の条件出しを行った。バブルフリー転写法により作製した二層グラフェン/hBNモアレ超格子構造を加工し、グラファイトバックゲートおよびデュアルゲート型ホールバーデバイスを作製した。グラファイトバックゲート型デバイスには、コンタクト電極とグラファイトの位置とずらすことで、リークを防止する構造を採用した。また、ホールバー作製後にhBNを追加で転写することにより、トップゲート-チャネル間のリークを防ぐことに成功した。 トップゲートとバックゲートを同時に調整することにより、キャリア密度と垂直電場を独立に制御可能な二層グラフェン/hBNモアレ超格子デバイスを実現した。このデバイスでは、低温、強磁場下において量子ホール効果(ホフスタッタ―の蝶)を観測できており、モアレ超格子特有の輸送特性の垂直電場、キャリア密度依存性を詳細に調べることが可能となった。現在は電荷中性点およびサテライト点近傍の温度、電場、磁場、キャリア密度依存性を調べ、解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高品質なグラファイトバックゲートおよびデュアルゲート型二層グラフェン/hBNモアレ超格子デバイスを実現できている。しかし、新たなクライオスタットの導入が遅れてしまい、またデバイス作製プロセスの条件出しに時間がかかってしまったため、当初の計画からはやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
デバイス作製プロセスの条件出しがほぼ完了したため、デバイス設計・作製を加速させる。測定装置・クライオスタットの立ち上げもほぼ完了しているため、低温輸送特性の測定サイクルをスピードアップする。作製したデュアルゲート型二層グラフェン/hBNモアレ超格子デバイスの輸送特性の温度、磁場、垂直電場、キャリア密度依存性を調べ、解析を進める。特に、量子ホール状態における二層グラフェンの電荷中性点は複数の自由度が縮退する特異な電子状態にあり、hBNとのモアレ超格子形成における影響を解明するために、パラメータを微調整して詳細に調べる。また、デバイスを量産し、再現性の確認や、積層角度依存性等を調べる。また、二層グラフェン/hBNモアレ超格子構造に量子ドット型トップゲートを作製し、少数電子状態の閉じ込め効果の観測を試みる。
|