研究課題/領域番号 |
21H01458
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
圓山 琢也 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (20361529)
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研究分担者 |
三古 展弘 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (00403220)
藤見 俊夫 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40423024)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 代理回答 / 丸め誤差 / PT調査 |
研究実績の概要 |
本研究は,自記式交通調査の代理回答バイアスと丸め誤差の特性を解明し,それらを利用した調査の質の計測指標やバイアスの補正法等を開発することを目的とする.本来の対象者ではない代理者の回答によるトリップの記入漏れ等のバイアスや,出発・到着時刻等を5や10の倍数等に丸めて回答することによる誤差を対象とする.本年度は以下の成果を挙げた. (1)トリップの出発時刻の丸め誤差を分析するウィップル指数を拡張した指数を提案し,JICAが実施している途上国でのパーソントリップ(PT)調査データを分析した.回答データの質,対象都市の文化等で解釈できる結果を得ており,成果は学会で発表済みである. (2)1984年,1997年,2012年の熊本PT調査データを利用して,トリップ出発時刻の丸め誤差の実態を精査した.交通特性,個人属性による違い,経年変化を分析した成果を学会で発表予定である. (3)代理回答者の情報を収集している米国全国PT調査を利用した分析を展開した.代理回答者の属性などの傾向,トリップ回答値への代理回答バイアス,代理回答にはには丸め誤差が多く含まれるなどの実証分析を実施した.特に,代理回答が自分のトリップ出発時刻を丸めて回答する場合,被代理回答者の回答には丸め誤差が多く含まれ,トリップの記入漏れが多いという知見を導くことに成功した.成果は学会で発表するとともに,国際雑誌に投稿中である. (4)正確な移動の出発・到着時刻を記録したデータとして,新聞誌上の首相動静のデータに着目し,その傾向等を精査した. (5)2022年度に予定されている熊本PT調査において,本研究プロジェクトとの連携も視野に入れて,代理回答者の分析が可能になる調査票の設計について関係者と調整を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国内外のPT調査を利用した分析を順調に進めている.特に米国全国PT調査による分析は,丸め誤差を活用した代理回答バイアスの補正法の開発につながる成果である.さらに,当初想定していなかった首相動静のデータの分析も展開できている.また,2022年に予定している熊本PT調査への調整も進められている.以上のことから,当初の計画以上に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
米国全国PT調査を利用した分析を継続し,丸め誤差を活用した代理回答バイアスの補正法を開発する.また,2022年に予定している熊本PT調査で代理回答の分析が可能となるように調整を継続する.さらに,丸め誤差を少なくする調査デザインの比較検討が可能な独自調査を実施することを検討する.
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