研究課題/領域番号 |
21H01489
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大風 翼 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40709739)
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研究分担者 |
大宮 哲 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 研究員 (60718451)
新屋 啓文 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (80794982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 吹雪 / 境界層 / 野外観測 / 視程 / LiDAR / 吹きだまり / 防雪フェンス / 防雪林 |
研究実績の概要 |
1)吹雪境界層下での野外観測:2021年度から継続し、北海道弟子屈町内のフィールドで継続して実施した。超音波風速計とスノー・パーティクル・カウンター(SPC)を四方が開けた吹雪境界層中に設置し、風速及び雪の質量流量を4高度で計測したほか、次年度の本観測に向け、視程計の設置高さなどを検討する予備計測を実施した。雪の質量流量の鉛直分布については、平均値は、既往の乱流拡散理論に基づき表現可能であることを確認したほか、10分平均値に対し、短時間の平均値の最大値の関係について分析を行った。更に、既往の雪の質量流量と視程の関係式を用いて視程の時間変動を推定し、視程計による観測結果と比較を行った。 2)模擬フェンス周辺の吹きだまり成長過程詳細観測:前年度に実施した高さ1m開口率0%の模擬フェンス周辺集中観測結果を分析したほか、同様の観測を継続して実施し、観測結果の拡充を図った。地表面近傍で12時間程度雪が断続的に飛散する条件下での結果を見ると、フェンス風上の吹きだまりの成長が主の初期のフェースで、ピークが徐々に増加しつつ、風下に吹きだまりが形成される次のフェーズに移行するまでの過程を捉えられていると考えられる。 3) 防雪林周辺の気流解析:防風植栽の葉の茂り具合や樹木高さなどと吹きだまりの形状の関係について分析を行うため、防風植栽のパラメータを変化させた系統的な解析を実施した。低木と高木の組み合わせにより、樹木効能の弱風域の乱れが、低木のみの状態に比べ、小さくなることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、野外観測で使用する測器の一部の納期が遅延し、当初予定していた観測の一部を次年度に延期したため。その他の項目については、概ね順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1)吹雪境界層下での野外観測:前年度から継続し、吹雪境界層での観測を実施し、観測データの拡充を図るほか、風速計、スノーパーティクルカウンター(雪の質量流量を計測)、視程計を、雪面近くの同一高度に設置し、時間解像度の高いデータの同時計測を実施する。 2)メソ気象解析に基づく視程分布の推定:これまでの観測結果から、平均風速と雪の質量流量の平均値、雪の質量流量の短い評価時間での変動値の関係について、回帰式を構築し、既往の雪の質量流量と視程の関係式により、視程の推定を行う。さらに、視程計での観測結果との比較から、推定精度の検証を行うとともに、この一連の視程推定プロセスをメソ気象解析の結果に適用し、平均視程及び短い評価時間での視程の最低値の空間分布の推定を行う。 3)飛雪モデルによる数値実験:オイラー・ラグラジアン飛雪モデルを用いて、段階的に平均風速を変化させた数値解析を行い、雪の質量流量の時間変動と乱流変動の関係について、分析を行うとともに、雪の質量流量の平均値と短い評価時間での最小値の関係について、流れの構造の側面から考察を行う。 4)防雪フェンス、防風林周辺の網羅的吹きだまり観測:吹雪の時間的変動と吹きだまりの成長や視程の緩和効果の関係を系統的に分析するため、空隙率の異なる模擬フェンスを設置し、冬期の吹きだまり形成の様子をLiDARで継続的に観測するほか、冬期に風向が安定している地域の、いくつかの樹林帯の前後で、LiDARによる吹きだまりの集中観測を2月に実施する。
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