研究課題/領域番号 |
21H01502
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
|
研究分担者 |
中野 茂夫 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (00396607)
宮下 貴裕 武蔵野大学, 工学部, 助教 (00868911)
佐野 浩祥 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (50449310)
中島 伸 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (50706942)
永野 真義 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50793527)
初田 香成 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (70545780)
西成 典久 香川大学, 経済学部, 教授 (90550111)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 文化 / アーバニズム / アーバニスト / 都市計画史 / 上野 |
研究実績の概要 |
本研究は、多様な実践者たちが都市を自らの生活環境として享受しながら、その環境自体を丁寧に工作的に生み出していく「都市をともにいとなむ」時代における都市計画像の再定義を目指し、従来の「社会技術としての都市計画」とは異なる、技術を人間活動へ包括する「文化運動としての都市計画」という新しい視座の構築(理論①)、その視座に基づく日本の近現代都市計画の通史的展開と特徴的事例の解明(歴史②)、加えて「文化運動としての都市計画」の方法の具体的な地域での活動や展覧会を通じた実践的検証(実践③)を目的としている。研究期間の初年度にあたる2021年度は、①、②について、アーバニズムおよびアーバニストという概念を中心に据えた理論的枠組みを整理し、その枠組みに基づいた日本の都市計画論・運動の歴史的展開の概略について書籍『アーバニスト 魅力ある都市の創生者たち』(ちくま新書、2022年)にまとめ、出版した。また、②については、戦後復興期の都市計画の民主化運動について、その特定の担い手の視点から特質を明らかにし、中島直人(2021)「戦後復興期における建築学徒・米永代一郎の都市計画に関する思考と活動 「都市計画の民主化」のミクロストリア」『都市計画論文集』、56巻3号、pp.991-998、日本都市計画学会として発表した他、2021年7月、および2022年3月に研究会を開催し、それぞれ「松江官庁街の保存運動とパブリック都市計画の実践」、「植民都市における民間都市施設史」というテーマで、今後の研究の論点の把握に努めた。③については、上野を主対象地として、芸術や学術に着目した文化的歓楽街の創造、および池とまちとを結ぶ新たなウォーカブル界隈の形成を目標としたボトムアップ型の街づくりの実践的研究を進め、それぞれ報告書をまとめ、公開した他、神田や高松等での実践も進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度において、今後の研究の大きな枠組みを「アーバニズム/アーバニスト」の構図を用いて構築できた点、主フィールドである上野における実践の展開が見られた点をふまえて、おおむね順調に進捗していると判断した。なお、具体的には、アーバニズムおよびアーバニストという概念を中心に据えた理論的枠組みを整理し、その枠組みに基づいた日本の都市計画論・運動の歴史的展開の概略について記述した書籍『アーバニスト 魅力ある都市の創生者たち』(ちくま新書、2022年)の出版、上野を主対象地とした、芸術や学術に着目した文化的歓楽街の創造(アーツ&スナック運動)、および池とまちとを結ぶ新たなウォーカブル界隈の形成を目標としたボトムアップ型の街づくりの実践的研究(しのばずいけまち研究会)の展開のことである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、「文化運動としての都市計画」の論点を明確にしていくために、引き続き研究会を年3回(7月、12月、3月)開催し、研究分担者および関連研究者による最新の研究を共有する。同時に、大学院教育(東京大学大学院工学系研究科の大学院講義「都市設計特論第2」)と連動させ、分担者の各テーマの深化と全体の体系化に向けた整理を行う。「文化運動としての都市計画」の理論的側面に関しては、アーバニスト、アーバニズム論についての国際的な状況の把握、比較を、海外調査を通じて実施する。なお、これらを踏まえて、随時、研究発表、学術論文化を行っていく予定である。
|