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2021 年度 実績報告書

LEDマーカー動的変位観測による東欧校倉造木造教会堂の構造モニタリング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H01515
配分区分補助金
研究機関筑波大学

研究代表者

上北 恭史  筑波大学, 芸術系, 教授 (00232736)

研究分担者 花里 利一  神奈川大学, 付置研究所, 客員教授 (60134285)
新津 靖  東京電機大学, システムデザイン工学部, 特定教授 (70143659)
下田 一太  筑波大学, 芸術系, 准教授 (40386719)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードウクライナ / 木造教会堂 / 校倉造 / ポテリッチ / ポーランド / LEDマーカー / 微動測定 / ラコバ
研究実績の概要

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻のために、当初の研究計画で予定していたLEDマーカーによるモニタリング実験は、ウクライナのポテリッチにある木造教会堂から隣国のポーランドに残る同等規模の木造教会堂に対象を変更して進めることになった。そこで2023年3月にポーランドの南東部に残る木造教会堂の対象地を探す調査を実施した。
近代になってポーランドが共和国として独立してからも、ソビエト連邦とドイツという近隣国との対立によって国境線は移動していた。特にポーランド南東部にはウクライナ民族が居住し、正教の木造教会堂が多く建設されていた。ポーランドはキリスト教カトリックなので、同地にはカトリックの木造教会堂と正教の木造教会堂が混在している。第2次世界大戦の終結の前後には、ソビエト連邦のウクライナ側に居住していたポーランド人のポーランド移住、ポーランド南東部に居住していたウクライナ人の移住が行われた。そのためポーランド南東部でウクライナ人によって建設された正教の木造教会堂は廃棄されることとなった。現在、正教の木造教会堂の多くはポーランド政府により文化遺産として保存されているが、博物館として公開されているもののほか空き家になっているものもある。
サノク郡(Sanok)のラコバ(Rakowa)に残る木造教会堂は、ポテリッチの木造教会堂の立地条件に近い条件で、河川によって削られた段丘崖上に位置し、河川側へゆるく傾いている。この教会堂はChurch of the Nativity of the Blessed Virgin Maryと呼ばれ、1779年造とされる。1947年にウクライナ人が移住してからローマ・カトリック教会に転用され、1970年代まで使われていた。この教会堂でLEDによるモニタリングが可能かどうか、検討することとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、ウクライナへの渡航ができなくなった。ウクライナ侵攻は当初早期に終息すると思われていたため、渡航の時期を調整していたが、戦況が長引く可能性があり、年度内のウクライナ調査は難しいと判断した。この理由によりウクライナ領内にある研究対象の木造教会堂の調査ができなくなったため、隣国ポーランド南東部に残る木造教会堂にモニタリング対象地を変える計画変更を行った。ポーランドにはかつてウクライナ人が多く居住しており、正教の木造教会堂も多く残っている。当初計画で想定していた建築規模、および立地条件、劣化の進行など、モニタリングに適した木造教会堂を探すための調査が必要になった。段丘崖の浸食による劣化よりは春先の突風による影響もうけるため、風力計の追加を検討している。また現在利用されていないため、LEDのモニタリング装置の電力供給のため、ソーラーパネルの設置とモバイルルーターによるデータ送信でデータの収集を検討している。

今後の研究の推進方策

モニタリングの対象となる新たな木造教会堂として、ラコバの木造教会堂を対象とし、現在、モニタリングの調査の許可を所有者であるカトリック教会と文化遺産の保存管理事務所に申請している。調査許可を得られ次第、モニタリング装置の設置を行う予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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