研究課題/領域番号 |
21H01567
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
蓮池 隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50557949)
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研究分担者 |
松本 慎平 広島工業大学, 情報学部, 教授 (30455183)
加島 智子 近畿大学, 工学部, 講師 (30581219)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 農産物流通 / 地産地消 / 情報システム / 数理最適化 / シミュレーション分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域で生産された農産物の食品ロスの削減,輸送などによる消費エネルギーの最小化,経営安定や供給安定の観点で生産者・食品小売業・消費者間のWin-Win関係を実現するための,持続可能な次世代農産物流通システムを構築することである. 2021年度はこの目的達成に向かう基盤づくりとして,以下の2点を重点的に実施してきた.
1.現在の農産物流通において,フードロスやエネルギーロスなど様々な問題が挙げられるが,実現場ではどの程度影響があるのかを,北関東を中心に展開する大手スーパーマーケットの物流担当者とディスカッションしながら,問題の洗い出しを行った.その中で,北関東で取れた野菜の多くが,東京の市場に運ばれたのちに北関東に戻ってきていること,および地域の流通現場では疲弊度合いが増しており,地域の流通を改善しなければ,消費者が求める食材が行き渡らなくなる可能性があること,などが課題として浮き彫りにされた.
2.農産物流通の先進的な取り組みとして実施されている「やさいバス」において,広島での取り組みに参画し,その実践内容を分析するとともに,今後どのような情報システム・数理的分析が必要となるかの洗い出しを行った.さらに,やさいバス以外にも,昨年度まで継続してきた基盤研究(B)で開発された農産物流通の情報システム・数理システム技術を活かした実応用を東広島市を中心に実施し,どのようなシステムを構築すればより効果的な生産者・食品小売業・消費者間のWin-Win関係を構築できるか,データ分析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究実績でも示したように,目的達成に向かう基盤づくりを念頭に研究課題を遂行していった.コロナの影響により,実地調査や関係者へのヒアリング等が対面で実施できなかった部分もあるが,オンライン会議システムを有効活用して,定期的にディスカッションを行うことで,2022年度以降へとつながる課題の整理と具体的な進め方が明らかとなった.また広島地域で実施の「やさいバス」の事業への参画も行っており,2022年度以降の研究の更なる発展が期待できることから,研究課題はおおむね順調に進展しているという評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,2021年度で明らかとなった課題の中でも,特にエネルギーロスについて議論および数理的手法による改善を実施していく.具体的には,地産地消地域の消費動向および全国規模での消費動向を考慮したうえで,農産物の需要を把握し,最適な生産・配分量を決定支援する数理モデルの構築を行う.その際,共同配送や倉庫の融通など,物流効率を上げる施策を取り入れるともに,必要な情報の共有,出したくない情報の秘匿といった情報共有システムの開発も取り組み,安全・安心・効率的な農産物流通システムのプロトタイプを構築する. さらに,広島地区での農産物流通に関する実践研究においては,2021年度までの成果をさらに発展させ,生産者・食品小売業・消費者間のWin-Win関係を持続させるためのシステム分析を実施する.
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