研究課題/領域番号 |
21H01590
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
山中 寿朗 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60343331)
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研究分担者 |
日野 剛徳 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20295033)
野村 瞬 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20705701)
後藤 慎平 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (90772939)
笠谷 貴史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), グループリーダー (90373456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 深海底地盤工学 / 深海底利用 / 原位置試験 / 三成分コーン貫入試験 / 地盤特性 |
研究実績の概要 |
本年度は、三成分コーン貫入試験機のキャリブレーションと、その運用におけるデータの品質管理に中心を置き、実施した。現場測定型密度計として開発を計画したRI型二成分計は、放射線源の利用において予想以上の困難が伴うことが開発中に明らかとなり年度内に解決が困難と判明したことから今後の課題となった。代わりに、CPT試験機とともに使えるリアルタイム傾斜計を作製し、計測データの品質管理に役立てることとした。あわせて、船上で利用できる密度計、せん断試験機、貫入試験機を導入し、採取コア試料を用いたデータを得るための準備を進めた。 リアルタイム傾斜計は次年度に実施する潜水艇を用いた調査時に、CPT試験機が垂直に海底泥に刺さるかどうかをモニタリングするためのものである。CPT装置にも傾斜計は装備されているが、自己記録式で試験中の傾斜の状況は確認できないため、試験中にリアルタイムでモニタリングすることで、データの質管理を目指す。2022年度に水深1000mのサイトでの実験を計画しているため、20MPaまでの耐圧試験を済ませ、次年度の航海で使用できるよう年度内に準備を完了した。 加えて、模擬海底地盤作製の準備として、複数の有明粘土を準備し、土質特性試験を行った。有明粘土に関しては、一度練り返すと特性が著しく変化するため、その様な変化が少なく、入手がし易い素材の選択をするため、情報収集を進めた。 なお、2022年度の航海の実施内容についてJAMSTECの船舶運航部門と協議し、潜水艇を用いた試験計画を承認いただき、年度明け5月に実施することで合意に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、東京海洋大学の船舶の運用がコロナ対策のため制限されていたため、深海底からの試料採集の機会が得られなかった。次年度、潜水艇での試料採集を行い、原位置計測以外の地盤特性情報については、計測を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は深海底における原位置計測を実際に実施する。5月に、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査船と潜水艇(しんかい6500)を利用し、駿河湾清水沖の水深約1000mの深海底にてマニピュレータによるCPT試験機およびリアルタイム傾斜計による海底泥への差し込みテストを実施する。同時に、プッシュコアラーにて採泥を行い、船上で密度計測を行うとともに、持ち帰った後に、粒度組成、含水比の計測を行う。潜水艇の調査では、潜水艇にサブボトムプロファイラも取り付けることが出来れば、海底下数mまでの堆積構造や砂層か泥かが見分けられるため、プッシュコアラー(長さ35cm)で採取できない深さの情報が得られ、CPT試験機のデータの解釈に役立つと期待される。でまた、海洋大の船舶を利用したマルチプルコアラーなどによる採泥も実施し、船上もしくは持ち帰った後、地盤特性の計測について可能なものを実施する。 潜水艇でのCPT試験機+傾斜計のオペレーション結果を参考に、潜水艇で利用できるCPT装置を定速で貫入するための土台を設計する。 陸上試験用模擬泥の作製について、航海の結果および前年度に収集した情報を元に適当と思われる試料の候補を複数選び、場合によっては採集を行う。 2023年度は再度JAMSTECの調査船と潜水艇の利用を申請し、2022年度の成果を活かしCPT試験機による原位置計測で信頼に足る計測データを手順を確立するとともに、特許申請などを見据えた陸上試験用模擬泥の完成を目指す。
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