研究課題/領域番号 |
21H01596
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
程島 奈緒 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (40453609)
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研究分担者 |
榊原 健一 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 准教授 (80396168)
水町 光徳 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (90380740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 音声案内 / 情報伝達 / 災害 / 公共空間 / 音声明瞭度 / 雑音 / 残響 |
研究実績の概要 |
以下2種類の提案法による発話方法に対し音声とEGG信号を録音し、声帯振動様式と音声明瞭度の関連を調査した。声帯振動様式は電気声門図 (EGG)から計測し、発声努力を示す特徴量である声門開放時間率 (Oq)を算出した。 1)若年男性1名が静音下 (Q)、屋外放送を想定した雑音(航空機騒音)・ロングパスエコー下 (NL)で録音した。その結果、Oqは QよりもNLの方が有意に小さくなった。若年者24名に対する明瞭度試験(刺激は原音声に録音時と同じ雑音・ロングパスエコーを付加)の結果、QよりもNLの方が明瞭度は有意に高くなった。以上より、QよりもNLで発声努力が大きくなり、音声明瞭度が改善されたことが示された。 2)若年男性2名(M1, M2)・若年女性2名(F1, F2)が静音下 (Q)、雑音環境下 (N、バブルノイズ)、残響環境下 (R、残響時間3.6 sのインパルス応答)で録音した。その結果、Oqは話者・発話環境によって有意に変化し、M2よりも M1, F2の方が、QよりもRの方が、NよりもRの方が有意に小さくなった。静音下と比べ雑音下、残響下で発声努力が変化したが、話者によって個人差がみられた。若年者24名に対する明瞭度試験(刺激は原音声に録音時と同じ雑音・インパルス応答を付加)の結果と照合すると、M1のみQ・N間と Q・R間で Oqと明瞭度ともに有意差があり、Oqと明瞭度が全ての条件で対応する訳ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通り実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討から、発声努力の変化には個人性があることが明らかになった。提案法(周囲の環境音を聞きながらの発話・緊迫感のある発話)による音声明瞭度の改善効果とOqの対応は、今年度使用した話者全員に一貫した相関はみられなかった。今後は発声努力と音声明瞭度の関連性について、より多くの話者で検討する必要がある。話者は若年者に加えて高齢者を含め、音響分析と聴取実験も平行して行う。これらの検討により、客観的に明瞭度の高い話者の特徴を明らかにする。
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