研究課題/領域番号 |
21H01598
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 株式会社大崎総合研究所 |
研究代表者 |
山崎 文雄 株式会社大崎総合研究所, 研究部, フェロー (50220322)
|
研究分担者 |
劉 ウェン 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60733128)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 合成開口レーダ / 地震被害 / 航空レーザ計測 / SARシミュレーション / 2023年トルコ地震 |
研究実績の概要 |
本年度はSARシミュレーションのために必要となる,3次元の地表面・構造物の形状を把握するために,地震・水害などに見舞われた河川や市街地の航空レーザ計測データの収集を行った.具体的には,2016年熊本地震の南阿蘇村,2018年北海道胆振東部地震の厚真町,2020年7月豪雨による球磨川流域の災害発生前後とその復興後の航空レーザデータを国土地理院や北海道などより収集した.また,これらのデータを用いて,Ray Tracing法を用いたSARシミュレータを用いて,衛星SARや航空機SARの実橋梁データの撮影条件でのシミュレーションSAR画像の作成を行った. また,2023年2月6日に発生したトルコ南部地震に関するALOS-2やTerraSAR-Xなどの地震前後のSAR画像の収集を行い,市街地における構造物被害の把握や地殻変動の評価を行った.2024年1月には,地震から約1年後の被災中心地のカフラマンマラシュ県などを訪れ,被災状況と復旧状況の現地調査を行った. さらに,2024年1月1日に能登半島地震が発生し,その情報収集に努めるとともに,早期の現地調査や衛星データの収集を開始した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新型コロナが5類感染症に移行し,ようやく学会出張や現地調査を支障なく行えるようになり,とくに国際会議に多数出張し,海外の研究者と議論する機会に恵まれた.SARシミュレーションに必要となる航空レーザ計測による数値表層モデル(DSM)を入手することができ,また2023年トルコ地震前後の高解像度SARデータも入手することができ,これらを用いた研究を推進する環境の整備が整った.
|
今後の研究の推進方策 |
2024年1月1日に発生した能登半島地震が,今後の大きな研究テーマとして挙げられる.橋梁構造物の被害はそれほど多くなかったが,4mを越すような地盤隆起,斜面崩壊,道路被害,市街地被害,液状化による側方流動と構造物損壊が多数観察された.これらの被害状況を把握するために,SAR衛星画像の収集や現地調査による検証データの収集を進めていきたい.また,本研究課題の最終年度であることから,これまでの研究のまとめを行い,SARシミュレーションによる橋梁構造物の早期被害把握の方法を提案したいと考えている.
|