• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

マイクロ流路内における高剪断場相転移誘起による配向性向上と機能発現設計

研究課題

研究課題/領域番号 21H01693
配分区分補助金
研究機関岡山大学

研究代表者

小野 努  岡山大学, 自然科学学域, 教授 (30304752)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードマイクロ流路 / せん断力 / CFD / 流動
研究実績の概要

本研究を効果的に推進するためには,「マイクロ流路設計」「流動・異相界面制御」「物質移動・溶液物性解析」「圧力損失計算・流量計測」などの要素技術について検証と検討を行っていくことが重要である。昨年度に引き続き,直接観察が困難なマイクロ流路内での流動挙動予測にはCFDシミュレーションを活用して,実験結果の検証に用いてきた。また,本研究では,マイクロ流路内に作用する高いせん断力を用いて相転移挙動がいかに影響を受けるか,またそこでの相転移挙動が固体化した材料の構造にどのように影響を与えるかは大きな関心を持つ。マイクロ流路を流れる液滴内の溶媒が外相へと物質移動することによって,液滴内部の高分子濃度が増大し,結果として相転移を誘起したカプセル構造になる現象が確認され,さらにその内部のカプセル構造も多層構造になり得ることが見いだされた点は大変興味深い。ここでは,物質移動とともに溶液組成が変化するが,単分散液滴を調製できていることによって液滴サイズの減少を観察するだけで物質移動量が見積もれることから,溶液組成と相転移の関係が明らかになった。
一方,ジェット流からの繊維形成においても,原料溶液を送液するチューブ内にてスラグ流や液滴状態を予め形成させることによって,任意の短尺繊維調製が可能なことが見いだされており,マイクロ流路内でセグメント空間を設計したうえで高せん断場での固体形成を促進することが新たな材料設計につながることが見いだされたことは大変興味深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CFDシミュレーション結果から,直接観察の難しい流路内の流動状態を推測することができ,また,単分散液滴から相転移誘起によって多層カプセル構造になる様子を顕微鏡観察による液滴径観察から見積もることができ,せん断場での物質移動量の変化と相転移挙動を関連づけることができた。

今後の研究の推進方策

液滴内部での相転移誘起による内部構造形成の様子を共焦点蛍光顕微鏡による観察によってより詳細に明らかにし,液滴組成変更がどのように反映されていくかを観察することができれば,液滴内部の半径方向に対する相転移誘起挙動を推測できると期待される。また,この現象をジェット流からの繊維形成にも適用することによって,新しい繊維形状の形成にも貢献できると考えられる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Microfluidic Production of Monodisperse Biopolymer Microcapsules for Latent Heat Storage2022

    • 著者名/発表者名
      Takaichi Watanabe, Yuko Sakai, Naomi Sugimori, Toshinori Ikeda, Masayuki Monzen, Tsutomu Ono
    • 雑誌名

      ACS Mater. Au

      巻: 2 ページ: 250-259

    • DOI

      10.1021/acsmaterialsau.1c00068

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Flow-induced production of polymer materials with microfluidics2022

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Ono, Takaichi Watanabe
    • 学会等名
      IChES 2022
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 液滴内での液固相転移現象を利用した鈴型マイクロカプセルの構造制御2022

    • 著者名/発表者名
      坂井優子,渡邉貴一,小野努
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] マイクロ湿式紡糸プロセスによる短繊維の調製2022

    • 著者名/発表者名
      西條由佳理,渡邉貴一,小野 努
    • 学会等名
      日本繊維機械学会第75回年次大会
  • [学会発表] マイクロ湿式紡糸プロセスによる酢酸セルロース中空繊維の調製2022

    • 著者名/発表者名
      中島宙, 渡邉貴一, 小野努
    • 学会等名
      日本繊維機械学会第75回年次大会
  • [学会発表] マイクロ流体デバイスを用いたNanoprecipitationによる酢酸セルロース微粒子の調製2022

    • 著者名/発表者名
      本西芳理, 渡邉貴一, 小野努
    • 学会等名
      化学工学会第53回秋季大会
  • [産業財産権] 短繊維の製造方法,及び当該方法により製造された短繊維2022

    • 発明者名
      小野努,渡邉貴一
    • 権利者名
      小野努,渡邉貴一
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2022-085583

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi