研究課題/領域番号 |
21H01735
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
河原 正浩 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, プロジェクトリーダー (50345097)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | キメラ抗原受容体 / 脳疾患 / 遊走 / シグナル伝達 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
脳中枢系に細胞を送達するためには、血液脳関門に存在する脳血管内皮細胞への結合と脳への遊走が必要である。細胞遊走シグナルを伝達するリガンドとして、主にケモカインや増殖因子が知られている。そこで、遊走誘導型キメラ抗原受容体(miCAR)を作製するにあたって、そのシグナル伝達ドメインとして、これらのリガンドに対する受容体を用いた。まずはmiCARの機能解析を簡便に行うために、抗原-抗体ペアとして簡便に入手しやすいハプテン抗原と、それに対する特異的な一本鎖抗体(scFv)を用いた。scFvを細胞外ドメインに持ち、ケモカイン受容体または増殖因子受容体の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを持つキメラ抗原受容体遺伝子をmiCAR遺伝子として構築した。これらの遺伝子をレトロウイルスベクターに組み込んで、遊走を評価しやすい細胞株に遺伝子導入し、安定発現株を取得した。得られたmiCAR発現細胞株に対して、鉛直方向の抗原濃度勾配への遊走能を評価できるトランスウェル遊走アッセイを行った結果、増殖因子受容体の膜貫通および細胞内ドメインを持つキメラ受容体の方が抗原依存的に高い遊走活性を持つことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ケモカイン受容体または増殖因子受容体のシグナル伝達ドメインを用いたmiCARを構築し、その機能を細胞株で検証することが目標であった。実際にこれらのmiCARの安定発現株を樹立し、トランスウェル遊走アッセイを行った結果、細胞遊走活性を示すmiCARの開発に成功したことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに受容体コンストラクトを改良することで、より高い遊走活性を持つmiCARの構築を進める。またトランスウェル遊走アッセイだけでなく、細胞の形態観察による遊走活性の評価系も構築する。
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