現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は期間中に以下の4項目を計画している. (1) 素子の安定性向上.(2) 発光の時間的・空間的コヒーレンスの測定: 前項で出力が安定すると測定が可能になるので,干渉計を構築し,時間的・空間的コヒーレンスを測定する.(3) 有機レーザーFETの性能向上: 本研究の有機レーザーFETは絶縁層表面に回折格子を持つDFB共振器を用いる.これは半導体と絶縁体の界面にポテンシャルの揺らぎをもたらす.FETではキャリアは半導体の絶縁層近傍を流れるため,ポテンシャルの揺らぎによりキャリア易動度が低下する.そこで,回折格子をキャリアの輸送に影響しない単結晶上部に作製する.(4) 空気中での動作可能な有機レーザーFETの開発: 有機単結晶への電子注入には電極にカルシウム等の仕事関数の小さい金属がもちいられるが,それらは反応性が高く空気中での使用に適していない.そこで,応募者らが開発した仕事関数の大きい金属から低抵抗で電子を注入できる電極構造(T. Kanagasekaran, H. Shimotani et al., Nature Commun. 8, 999-1-9 (2017))を導入する.さらに,機半導体単結晶を他の有機素子で用いられるような封止材で覆うことにより有機半導体レーザーFETの空気中での動作を目指す. 2023年度中に(1)が達成されており,(4)は(1)~(3)に比べて要する時間が短いことを考えると,おおむね予定通りに進捗している.
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