研究課題/領域番号 |
21H01858
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
桑原 彬 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50732418)
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研究分担者 |
富田 英生 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432239)
澤田 佳代 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (90372531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 同位体分析 / レーザー共鳴イオン化 / 非平衡プラズマ / プラズマ触媒 / レーザーアブレーション / ウラン / 誘電体バリア放電 |
研究実績の概要 |
2022年度は、①誘電体バリアー放電(DBD)プラズマ装置のジェット長定量・安定作動、②アブレーションプラズマの分光測定、③ウラン分析環境の構築を実施した。 ①アルゴンガスを用いたジェット型のDBDプラズマ装置について、安定作動可能な円筒型の電極間距離が9mmであることを確認した。また、大気圧下で動作させCCDカメラによるジェット長の定量を行った。その結果、アルゴン流量3L/min(流速3m/s)で最大の40mmであることが確認された。また、浮遊電位の金属をジェット中に設置することで、電子密度の向上が見込めることが示されたものの、出口近傍ではプローブによる攪乱が生じることでダブルプローブによる電子密度の計測が困難であることが確認された。 ②及び③では、最終目標である二酸化ウランを模擬サンプルとして適用できる環境を整備することができた。次に、ナノ秒パルスレーザーのアブレーションで発生するウラン原子の伝播挙動とスペクトル形状の時空間情報の計測を実施した。主な成果として、重元素であるウラン原子は、2021年度の成果であるアルミニウム原子よりも遅い速度で真空中を伝播すること、通常真空中では見られない2つのプルーム層に層分離してしまうこと、スペクトル分裂(ドップラー分裂)が観測されないこと、に関する重要な結果を得ている。これらの実験は、ウラン原子の基底準位からの吸収線(394.382nm)を用いて実施されたが、低励起準位からの吸収線である(404.268nm)についても光学的Time-of-Flight計測から伝播速度を計測することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
誘電体バリア放電プラズマの電源の不具合により実験の遅れが生じたものの、レーザーアブレーションに関する研究及びウラン分析環境の構築については、想定を上回る成果が得られており、全体として概ね順調に進展していると評価できる。特に、2021年度末時点で投稿中だったアブレーションに関する成果については、2022年度に追加実験等を経て学術雑誌(Q1ジャーナル)に掲載されており、RIMS応用における重要な知見を既に得ている他、ウラン原子の分光計測では、これまでに報告されていない興味深い結果が確認されており、想定を上回る成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、誘電体バリア放電プラズマのエンハンスメント現象の誘起と真空下でのジェット化を実施する予定である。これまでは片方の電極を接地させていたが、浮遊電極としてジェット中に設置電極を設け、出口下流で柱状プラズマ(グロー放電)の生成を試みる計画である。また、電子密度については、発光分光計測又はレーザー吸収分光計測により定量する。次に、レーザーアブレーションについては、ウラン原子の新たな現象の解明とRIMS応用の観点から考察を目指す。具体的には、ウラン原子の層分離の要因がペレットに含まれる少量の軽元素の影響を受けている可能性、スペクトル分裂はウラン原子の伝播速度が遅いことで出現していない可能性を検討する。
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