研究実績の概要 |
本研究は,岩石学的特性と物質移動特性を結び付けたマトリクス拡散に関する物質移動モデルの構築を実施する。STEP1-STEP3は記載岩石学的手法と室内実験的手法の両面からなり,段階的に研究を実施する。STEP4は取りまとめとして,概要調査の際に岩石調査に基づく物質移動の遅延能力の評価技術を体系化する。
2023年度は「Outlining zircon growth in a granitic pluton using 3D cathodoluminescence patterns, U-Pb age, titanium concentration, and Th/U: Implications for the magma chamber process of Okueyama granite, Kyushu, Japan」を国際誌Lithosに公表した。また,「Crystallization processes of quartz in a granitic magma: Implications for the magma chamber processes of Okueyama granite, Kyushu, Japan」を国際誌Journal of Asian Earth Sciencesに公表した。本研究では鉱物中の三次元的(空間的)な内部構造を評価するための手法を開発した。 上記公表論文によって獲得した手法により,鉱物中の微小孔の三次元的な内部構造(ネットワーク構造)の評価が可能となった。また,大きな成果として,長石の変質と微小孔,【STEP3】で得られた物質移動特性を示す試料の空隙率と実効拡散係数との関係性について革新的な知見を得た。その結果,微小孔がマトリクス拡散の物質移動経路として機能すること,また微小孔が物質移動の遅延をもたらすという知見を得た。
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