研究課題/領域番号 |
21H01972
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 信洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (30358048)
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研究分担者 |
山口 英俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (10783194)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 一次標準直接法 / 磁気分析 / 標準ガス / 放射線計測 / アラニン線量計 |
研究実績の概要 |
本研究課題の一部である「有効磁気モーメント法による窒素酸化物ガスのラジカル数分析」では、ミクロ天秤、ワイス型電磁石、自動Xステージ、手動XYステージ、核磁気共鳴磁場測定器用プローブなどの調達、および、これらの物品の組み立てに必要な部品を製作することにより、体積磁化率の絶対測定が可能な気体試料測定用磁気天秤を自作した。組み立て直後、幾つかの不具合が判明したため、不具合を解消するための部品の設計、調達等を行うことにより、低圧酸素封入試料管、および、低圧一酸化窒素試料管の室温における試測定を可能にした。試測定により得られた各ガスの体積磁化率は、試料管の材質・サイズなどによって有意に異なるが、過去の文献による値と5%~10%の差で一致した。 「有効磁気モーメント法による放射線照射物質のラジカル数分析」では、101 kGy未満の比較的低線量が照射されたアラニン線量計のSQUIDによる磁気モーメントの温度変化測定における不確かさを低減する試みを実施した。しかしながら、SQUIDにおける測定条件・測定方法を変更してもSQUIDの感度を向上させることは難しく、照射線量1 kGy以下のアラニンペレットのラジカル数をSQUIDを用いて十分に小さな不確かさで絶対測定することは困難であることが明らかになった。101 kGyから5 kGyまでは有効磁気モーメント法によるラジカル数、および、放射線化学収量を得た。線量が低下するに従って放射線化学収量が増加する傾向がみられた。101 kGyの化学収量の相対拡張不確かさ(k=2)は6 %であったのに対して、5.6 kGyでは7.8 %であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の磁気天秤の製作では、最近の半導体関連部品等の納期遅れにより、本自作に必要な機器の納品も遅くなったが、年度内に組み立てる事ができた。気体試料の電子スピン共鳴測定については、上記の磁気天秤の自作に専念したため、来年度、実験を再開する予定である。放射線照射物質のラジカル数分析では、SQUID測定による研究の目標を予定通り2年間でおおむね達成した。
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今後の研究の推進方策 |
「有効磁気モーメント法による窒素酸化物ガスのラジカル数分析」では、自作した磁気天秤による体積磁化率測定における様々な測定条件を検討することにより、精確な体積磁化率測定値を得ることを試みる。また、試料管に試料ガスを導入するために使用している配管の気密性を高めるための改良を行う。なお、現状では、同測定は室温のみでの測定を実施しているが、可能であれば、室温付近で温度を変化させながら測定できる仕様になるように、磁気天秤の改造を行う。 「有効磁気モーメント法による放射線照射物質のラジカル数分析」では、SQUIDではフリーラジカル数定量が困難であった比較的低照射線量のアラニンについて、電子スピン共鳴(ESR)測定装置によるフリーラジカル数測定を行う。前年度におけるSQUID測定によってラジカル数および各温度における磁気モーメント値が既知のアラニンペレットでESRを校正する。
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