研究課題/領域番号 |
21H01976
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 賢臣 大阪大学, 安全衛生管理部, 准教授 (20445844)
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研究分担者 |
鈴木 昭弘 (東崎昭弘) 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (20021173)
吉田 裕介 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (30849386)
本多 貴之 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40409462)
小池 裕也 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (50360186)
三田村 敏正 福島県農業総合センター, 浜地域研究所, 専門員 (00504052)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ヤママユガ / 放射性セシウム / 人工餌 / 体内動態 |
研究実績の概要 |
本研究では天然に生育するヤママユガ(通称は天蚕、野蚕)が成長する際に取り込んだ放射性セシウム(以下、Csー137)が、体内においてどのように濃縮もしくは排出され、最終製品である絹糸にどのような形で移行しているのかを明らかにする。このことにより、絹糸を使用する絹製品や化粧品として人に利用されるときに生ずる人への被ばく影響の有無について総合的に知見を得ることが最終的な目的である。2022年度は、確立された実験系に基づいて安定セシウム(Cs-133)を用いての実験を行った。 実験ではヤママユガにCs-133が含まれた餌(人口餌)を与えて生育し、齢ごとに体内中およびフンなどの代謝物のCs-133濃度をICP-MSによって測定を行う方法を採用した。人工餌は寒天培地にクヌギを混ぜ合わせて作成した物で、その中に5μg/g、10μg/g、50μg/g となるようにCs-133を添加し、ヤママユガに一定期間与えた。これによりCs-133は生体内へと移行され、その後新陳代謝によって排出される。この時の体内と体外のCs-133を測定することにより体内動態を得た。結果は、食餌によって体内に取り込まれたCs-133のほとんどが新陳代謝によって排出(体内に残っていない)ことが分かった。ただし、フンなどの代謝物を測定できていないため、今後は代謝物中のCs-133を測定し収支の一致を確認していく必要がある。 ここまでの結果を、日本野蚕学会第27回大会にて共同研究者の吉田が発表を行った。 また、ヤママユガが持つ絹糸線と呼ばれる繭糸を作る器官自体を測定することを試しており、今年度は測定できるほどの量が取れなかったため、今後それらを行える量を確保し、調査を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では2021年に実験系の確立を行う予定であったが、新型コロナの影響により出張が執り行えず多少の遅れを生じた。それの影響を引きずる形で2022年度に行う予定であった安定セシウムを用いた室内実験にも遅れが生じた。ただし、2022年度後半から比較的順調に進めることが可能になり、大きな遅れは取り戻したといえる。現在は、2022年度に行った室内実験のクロスチェックを行う段階であり、2023年度前半には十分に終えることができる。そのため、それと並行して放射性セシウム(Cs-137)を用いた実験にもとりかかっていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、2022年度までに行ってきた安定セシウムの実験のクロスチェックを行っていく。それと並行して放射性セシウムを用いた室内実験においても進めていく。 放射性セシウムを用いた室内実験について具体的には、 実験系の確立 → Cs-137 を用いての実験、と進んでいくため2023年度後半にかかると考えています。 また、福島県浜通り地域での実地検証を行うにあたって、浪江町での圃場の確保は2022年度内にすんであり、整備も行った。現在は桑の木を伐採した段階であり若芽が出るのを待っている。今後、若芽が出た段階で、ハウスを作り実際の飼育場として2023年度内に完成させていく。
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