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2024 年度 実施状況報告書

ヤママユガが産出する絹糸への放射性セシウムの濃縮動態解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K21128
配分区分基金
研究機関大阪大学

研究代表者

高橋 賢臣  大阪大学, 安全衛生管理部, 准教授 (20445844)

研究分担者 三田村 敏正  福島県農業総合センター, 浜地域研究所, 専門員 (00504052)
鈴木 昭弘  大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (20021173)
吉田 裕介  大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (30849386)
本多 貴之  明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40409462)
小池 裕也  明治大学, 理工学部, 専任准教授 (50360186)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2026-03-31
キーワードヤママユガ / 絹糸 / 放射性セシウム / 移行
研究実績の概要

ヤママユガが産出する絹糸への放射性セシウムの濃縮動態解明について、2024年度は放射性同位元素を用いての実験を行った。2023年度までに安定同位元素を用いた飼育と測定を行っていたが、そのデータと比較をするためと、2025年度に行う実証実験のためである。2023年度の結果は、ヤママユガの体内に人工食餌によって取り込まれた安定セシウムは、大部分が糞として対外に排出されていたことが分かった。この結果は、2023年度に奄美で開かれた野蚕学会にて報告済みである。2024年度の放射性セシウムを用いた実験においても、摂取後48時間以内に、ほとんど全てが排出されていることが確認された。この結果は、2024年度に京都で開かれた国際昆虫会議にて報告済みである。ただし、この摂取方法は放射性セシウムの水溶液を直接「ヤママユガ」に経口摂取させる形で行ったため、実際に「ヤママユガ」が放射性セシウムを体内に取り込む方法とは違っている。実際には、餌となる葉から体内に移行していくため、2025年度は放射性セシウムが含まれた葉を用いての摂取実験を行う予定である。さらには、浪江町、大熊町にて実証実験を行うことができるフィールドを用意できたため、そちらのフィールドを用いての実証実験も行い、自然環境中での振る舞いと実験室中でのふるまいを比較検討する。これらの実験結果はまとめてAPSORC2025(国際会議)にて発表する予定であり、そこでの発表は査読付きに論文となる予定である。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

2024年度までの計画では、放射性セシウムを用いての摂取実験を行う予定であった。この実験は無事済んでいるため順調に計画は進展していると考える。しかしながら、その後の議論において、論文とするためには追加のデータが必要となったため、2025年度に追加の実験を行いデータの補完をする。2024年度の実験では水溶液を用いて「ヤママユガ」の体内に放射性セシウムを採取させたが、自然の状態においては植物の葉を餌として取り込むときに採取されることから、その状況を再現する実験を行う必要がある。
また、2025年度は「ヤママユガ」を自然の中で育成し、放射性セシウムによって汚染された樹木からの放射性セシウムの取り込みにおいては、どのような移行が見られるのかを観測する計画である。そのために、2024年度までに福島県の浪江町および大熊町に「ヤママユガ」を飼育できる圃場を整備した。整備については現在のところ順調であり、2025年5月現在、すでに大熊町の圃場に「ヤママユガ」の卵を600個ほど「山付け(樹木に孵化できるようにすりつけること)」をした。この圃場の土壌や樹木中の放射性セシウム濃度を測定し、7月中旬以降に繭となることからそれらを測定して、実証実験とする。

今後の研究の推進方策

2025年度は本研究計画の最終年度のため、実証実験やこれまでのデータを保管するための追加実験を行っていく。追加実験としては、放射性セシウムをこれまでの実験で用いていた水溶液ではなく、葉を用いて行う。つまり、できるだけ自然の状態に近い採取方法での取り込みと排出データを取得していく。それらのデータが取得できた段階で論文執筆を行う予定である。
また、実証実験では浪江町と大熊町に設置した圃場を用いて実際に「ヤママユガ」を飼育し、それを用いての実験を行う。浪江町と大熊町に設置した圃場ではまだ土壌が汚染されているため、そこに含まれる葉には放射性のセシウムが含まれている。この放射性セシウムが含まれている葉を「ヤママユガ」に食餌させ、5齢の幼虫、そして繭(さなぎ)、最終的に母蛾の放射能濃度をγ線スペクトロメトリーによって測定する。
2025年度以降の計画としては、「ヤママユガ」は天然に存在する蚕であることから、その餌の樹木は「桑」以外は何でも食べることが知られている。我々の圃場では「エゾノキヌヤナギ」と「くぬぎ」を用いているが、これら以外の樹木を摂取する場合はどのような結果になるかなども調査したい。また、福島県浜通り地域は依然として環境中の放射線が一般よりは若干高いため、その影響が「ヤママユガ」自身にあるのかなどについて遺伝子解析などを用いて調査してみたい。

次年度使用額が生じた理由

2024年度に行った水溶液を用いての放射性セシウム取り込み実験の結果を補完するために、2024年度後半にクヌギやヤナギを使用してのヤママユガへの放射性セシウム取り込み実験を予定していた。しかしながら予想よりも気候変動が激しかったためか「ヤママユガ」の卵からのふ化率が非常に悪く実験に供する頭数をそろえることが出来なかった。そのため、実験用の物品や葉を取りに行くための旅費について使用せずに余ってしまったためである。
2024年度に行えなかった実験は、2025年度に行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Effects of Radioactive Cesium on Wildsilk Produced by Japanese oak silkmoth, Antheraea yamamai2024

    • 著者名/発表者名
      吉田裕介、髙橋賢臣、7名
    • 学会等名
      国際昆虫学会
    • 国際学会

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公開日: 2025-12-26  

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