研究実績の概要 |
非可食性バイオマスから誘導可能な様々な置換基を有する鎖状および環状のα,β-不飽和カルボン酸エステルの高効率、高位置選択的かつ 高立体規則的な重合法を開発し、従来のアクリル樹脂(PMMA)および汎用エンジニアリングプラスチックの性能を凌駕する様な非可食性バイオマ ス由来の新規な高機能・高性能バイオマスアクリル樹脂の合成技術を開発する事を目的として研究開発を実施した。 β位に置換基を有するα,β-不飽和カルボン酸エステル(クロトン酸エステル類および桂皮酸エステル類)の重合法を用いて、これまで高分子重合物の取得を行っていない非可食性バイオマスから誘導可能な様々なアルキル置換基および芳香族置換基を有する鎖状および環状のアクリ ルモノマーの重合活性を評価し、非可食性バイオマスから誘導可能な鎖状および環状アクリルクリルモノマーの高効率、高位置選択的かつ高立体規則的な重合技術を用いた高効率な工業生産システム開発に繋がる基盤技術の確立に向けた検討を実施した。 今年度は、β位にメチル基以外のアルキル基を持つα,β-不飽和カルボン酸エステル、β位に位置する芳香環上に様々な置換基を持つα,β -不飽和カルボン酸エステル、環状のα,β-不飽和カルボン酸エステルなどを用いて、重合物の取得を目指した。また、これらのバイオマスアクリルモノマーについて共重合体の合成を行った。得られた重合物について、熱物性および機械特性について評価した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 (1) 開発したβ位に置換基を有するα,β-不飽和カルボン酸エステル(クロトン酸エステル類および桂皮酸エステル類)の重合法を用いて、クロトン酸エステルと桂皮酸メチルの共重合体の合成を達成した。 (2) 得られた共重合体について、主鎖骨格の立体規則性、熱物性、光学特性、機械特性及び、分解性の評価を実施し、主鎖骨格の立体規則性と各種物性との関係性について考察した。 (3) 開発したβ位に置換基を有するα,β-不飽和カルボン酸エステル(クロトン酸エステル類および桂皮酸エステル類)の重合法を用いて、新たなバイオマスアクリル樹脂として、フラン環を有するバイオマスアクリルモノマーの重合を検討し、ポリマーの取得に成功した。
|