研究課題/領域番号 |
21H02004
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
北山 雄己哉 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40649745)
|
研究分担者 |
原田 敦史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50302774)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 微粒子界面光架橋 / 高分子微粒子 / 中空粒子 / 生分解性 / カプセル / ポリエステル |
研究実績の概要 |
本年度は以下の項目に焦点を当て、検討を行った。 1.光反応性ポリエステルの合成・・・生分解性を示す高分子中空粒子やカプセル粒子の調製を行うための、光反応性ポリエステルの合成を試みた。まず、ポリエステル側鎖に光反応性基を導入するために、クロロ基を有するε-caprolactone(ClεCL)を合成した。ClεCLとε-caprolactone (εCL)を用いた開環共重合により、P(ClεCL-co-εCL)を得た。その後、側鎖クロロ基をアジド基に変換後、ヒュスゲン環化付加反応により、光反応性基としてシンナモイル基をポリマー側鎖に導入した。 2.光反応性ポリエステル粒子の合成・・・光反応性ポリエステル粒子は、溶媒蒸発法により調製した。まず、溶媒蒸発法を行うためにP(Cinnamoyl εCL-co-εCL)の有機溶媒への溶解性を評価し、クロロホルムを溶媒蒸発法のための溶媒として選択した。分散安定剤としてポリビニルアルコールを溶解させた水溶液中で、クロロホルムに溶解させたP(Cinnamoyl εCL-co-εCL)をホモジナイザーで懸濁後、溶媒を徐放することでP(Cinnamoyl εCL-co-εCL)微粒子を調製した。得られた微粒子を光学顕微鏡で観察したところ、ミクロンサイズの微粒子として得られたことがわかった。 3.微粒子界面光架橋反応によるポリエステル中空粒子の調製・・・P(Cinnamoyl εCL-co-εCL)微粒子に対して微粒子界面光架橋反応を適用し、得られた粒子を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により観察したところ、内部に空隙を有する中空粒子であることが確認された。以上の結果から、微粒子界面光架橋反応を利用することでポリエステル主鎖を有する中空粒子が作製できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ポリエステル型高分子の微粒子界面光架橋反応への適用を行い、主鎖にエステル結合を有する中空高分子微粒子の合成を行った。具体的な成果として、光反応性シンナモイル基を側鎖に有するポリエステルを新たに合成し、この光反応性についても評価できた。また、溶媒蒸発法により、本ポリエステルの微粒子化に成功した。さらに、微粒子界面光架橋反応により中空粒子を得ることに成功した。これらの研究成果から、本研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
以下に示すように研究計画を遂行する。 1.ポリエステル主鎖を有するカプセルの調製・・・2021年度に開発したポリエステル型高分子中空粒子を用いて、種々の分子の内包によるカプセル化を試みる。 2.分子量や光反応性基導入率が微粒子界面光架橋反応に与える影響の評価・・・異なる分子量や異なる光反応性基導入率を有する光反応性ポリエステルを開環共重合により合成し、ポリマーの分子量や側鎖光反応性基の導入率が微粒子界面光架橋反応における光反応性に与える影響について評価する。また、上記の要因が得られる中空粒子のシェル厚みや物性に与える影響について評価する。 3.ポリエステル主鎖を有するカプセルの分解性評価・・・得られたポリエステル微粒子の加水分解性や酵素分解性について検討を進める。
|