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2021 年度 実績報告書

太陽光を利用した二酸化炭素還元による有用物質合成

研究課題

研究課題/領域番号 21H02043
配分区分補助金
研究機関山梨大学

研究代表者

入江 寛  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70334349)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード人工光合成 / 二酸化炭素還元 / 水素 / 光触媒 / 赤色光
研究実績の概要

太陽光有効利用のためその可視光全域(赤色光まで)を利用し水を電子源に二酸化炭素を還元し、有用物質生成、ここでは特に一酸化炭素しくはメタンの生成を目的に研究を進めている。2021年度はまず、当研究室が所有する水分解評価装置を二酸化炭素還元評価装置に改造した。具体的には反応容器への二酸化炭素導入経路設置や二酸化炭素還元生成物定量のためのガスクロマトグラフの増設、接続を行ない、従来測定していた水素、酸素、窒素に加え、二酸化炭素還元により生成する一酸化炭素やメタンなどを一系統で測定できるようにした。更にこの二酸化炭素還元評価装置を用いて、当研究室ですでに見出している赤色光に応答し水を完全分解できる接合型複合光触媒による二酸化炭素還元評価を行った。その結果、波長700 nmの赤色光照射のもと、一酸化炭素の生成を確認できた。この評価試験は、二酸化炭素が溶存する蒸留水を用いて行っていることから、水を電子源に二酸化炭素を還元し有用エネルギー物質合成に成功したと考えている。一方で、水素生成がメインであることからプロトンの還元でなく二酸化炭素還元が選択的に進行する助触媒の担持や反応条件の最適化が求められる。また、今後は同位体二酸化炭素(13CO2)、同位体水(H218O)を用いた二酸化炭素還元試験を行い、二酸化炭素由来の一酸化炭素は発生していること、また水が電子源であることを明らかにするため、13CO, 18O18Oの検出を進めていく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は1. 二酸化炭素還元評価装置の立ち上げ、および2. 当研究室ですでに報告している赤色光に応答し水を完全分解できる接合型複合光触媒による二酸化炭素還元評価を行った。
1. 当研究室で所持する水分解評価装置(閉鎖循環系光触媒反応評価装置)を二酸化炭素還元評価装置に改良(反応容器内への二酸化炭素導入経路の新設や二酸化炭素還元生成物定量のためのガスクロマトグラフの増設、接続)することによって従来測定していた水素、酸素、窒素に加え、二酸化炭素還元により生成する一酸化炭素やメタンなどを一系統で測定できるようにした。実際、問題なく稼働している。
2. 当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる金接合型複合光触媒(ロジウム酸亜鉛(ZRO)/金(Au)/バナジン酸ビスマス(BVO)、作製プロセスからZRO表面に助触媒としてのAuが担持されることから、以下Au/ZRO/Au/BVOと記載)の水分解活性が最大となるZRO, Au, BVO比を実験的に求め、水分解活性が最大となったAu/ZRO/Au/BVOを用いて二酸化炭素還元評価を行った。その結果、波長700 nmの赤色光照射のもと、一酸化炭素の生成を確認できた。この評価試験は、二酸化炭素が溶存する蒸留水を用いて行っていることから、水を電子源に二酸化炭素を還元し有用エネルギー物質合成に成功した。
以上、ほぼ計画通りに進捗していることから、おおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

2021年度の研究では、当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる金接合型複合光触媒(Au/ZRO/Au/BVO)を用いて水を電子源に二酸化炭素を還元し一酸化炭素の合成に成功した。一方で、現状では水素生成がメインであることからプロトンの還元でなく二酸化炭素還元が選択的に進行させることが必要となる。また、二酸化炭素還元による生成物も一酸化炭素、メタンに加え、ギ酸、ホルムアルデヒド、メタノールなど種々存在するため、生成物の選択的生成も求められる。これら選択性向上のためには還元反応側の助触媒の選定、探索が重要であり、まずは既往の研究を参考に、選択的なプロトン還元が進む白金(Pt)、二酸化炭素還元による一酸化炭素生成が進む金や銀(Ag)、メタン生成が進む銅(Cu)を助触媒として担持する。また、水の酸化活性向上も二酸化炭素還元活性向上に寄与するため、酸化反応側の助触媒、酸化コバルト系(CoOx)や酸化コバルト・リン系(CoPi)の担持も検討する。使用する母体の光触媒はAu/ZRO/Au/BVOに加え、当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる銀接合型複合光触媒ZRO/Ag/BVOであり、それらに助触媒を担持したX/ZRO/Ag/BVO, X/ZRO/Ag/BVO/Y, Au/ZRO/Au/BVO/Y(X = Pt, Ag, Cu, Y = CoOx, CoPi) の二酸化炭素還元を検討していく。また、同位体二酸化炭素(13CO2)、同位体水(H218O)を用いた二酸化炭素還元試験を行い、二酸化炭素由来の一酸化炭素は発生していること、また水が電子源であることを明らかにするため、13CO, 13CH4, 18O18Oの検出を行っていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Silver Cocatalyst-Concentration Dependence of Overall Water Splitting Performance over Silver-Inserted Solid-State Heterojunction Photocatalyst Composed of Zinc Rhodium Oxide and Bismuth Vanadium Oxide2021

    • 著者名/発表者名
      H. Irie, M. Yoda, T. Takashima, J. Osaki
    • 雑誌名

      Applied Catalysis B: Environmental

      巻: 284 ページ: 119744

    • DOI

      10.1016/j.apcatb.2020.119744

    • 査読あり
  • [学会発表] 赤色光応答光触媒の水分解活性向上と二酸化炭素還元2021

    • 著者名/発表者名
      入江寛
    • 学会等名
      光機能材料研究会第83回講演会「光触媒研究と開発技術の最新動向と将来展望」
    • 招待講演
  • [学会発表] ルチル酸化チタンと鉄シリサイドが接合した光触媒複合粉末への水素発生助触媒担持の検討2021

    • 著者名/発表者名
      秋山賢輔、入江寛
    • 学会等名
      公益社団法人日本化学会第102春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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