今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では、当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる銀接合型複合光触媒(ZRO/Ag/BVO)に助触媒として銅(Cu)を選択的にZRO上に担持したCu/ZRO/Ag/BVOは、水を電子源に二酸化炭素を還元しメタンを合成できることを明らかにした。メタン以外の二酸化炭素還元物(例えば一酸化炭素やギ酸)の生成は認められなかったため、二酸化炭素還元物の選択性は銅を助触媒とすることで達成できた。一方で、現状では水素の生成量がメタンの生成量より大きいことから、プロトンの還元でなく二酸化炭素還元が選択的に進行させることが必要となる。この選択性向上のためには還元反応側の助触媒の選定、探索が重要であり、まずは既往の研究を参考に、選択的なプロトン還元が進む白金(Pt)、二酸化炭素還元による一酸化炭素生成が進む銀(Ag)を助触媒として担持し検討する。また、水の酸化活性向上も二酸化炭素還元活性向上に寄与するため、酸化反応側の助触媒、酸化コバルト・ホウ素系(CoB)や酸化コバルト・リン系(CoPi)の担持も検討する。使用する母体の光触媒はZRO/Ag/BVOであり、それらに助触媒を担持したX/ZRO/Ag/BVO, X/ZRO/Ag/BVO/Y, Au/ZRO/Au/BVO/Y(X = Pt, Ag, Y = CoOx, CoPi) の二酸化炭素還元を検討していく。また、同位体二酸化炭素(13CO2)、同位体水(H218O)を用いた二酸化炭素還元試験を行い、二酸化炭素由来の一酸化炭素は発生していること、また水が電子源であることを明らかにするため、13CO, 13CH4, 18O18Oの検出を行っていく。
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