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2021 年度 実績報告書

オルガネラ代謝物の化学標識による時空間メタボローム解析

研究課題

研究課題/領域番号 21H02058
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

田村 朋則  京都大学, 工学研究科, 講師 (10746639)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード代謝物 / メタボロミクス
研究実績の概要

2021年度はミトコンドリア内代謝物を標的としたOrganelle-targeting Reactive Molecule (ORM)の開発を行った。ミトコンドリアはTCA回路、酸化的リン酸化、脂肪酸ベータ酸化など、様々な代謝を担うオルガネラであり、本手法の有用性を検証する上で適したオルガネラであると言える。ORMのミトコンドリア局在モチーフとして膜電位依存的にミトコンドリアに局在することが知られるローダミン誘導体を採用し、様々な官能基(アミン、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、チオールなど)を有する代謝物の化学標識を実現するために、多様な反応基を連結したORM試薬を合成した。本年度は特に光反応基の検討を進め、フェニルアジド、ベンゾフェノン、ジアジリンといった光反応基を有するローダミン誘導体を合成した。合成したORMを培養細胞に処置し、ライブイメージングやLC-MS解析によって、オルガネラターゲッティング能、反応効率、反応選択性等を評価した。初期検討の結果、ORMはミトコンドリアに特異的に局在し、光照射によっていくつかの代謝物に対する標識が進行することが確認された。特に脂肪酸類が同定されたことから、ミトコンドリア内代謝物の選択的な標識が進行していることが示唆された。
また、本年度はオルガネラ内のホスファチジルコリンを選択的に標識する技術を応用してホスファチジルコリンの代謝を制御する遺伝子の網羅的スクリーニングを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画通り、ミトコンドリアに局在する分子の合成に成功し、さらにLCMS解析によってプローブが標識された代謝物も複数同定されたため、順調に進展していると言える。ただし、標識効率があまり高くなく、検出感度が低いことから、今後さらなる改善が必要である。

今後の研究の推進方策

当初計画通り、ミトコンドリアに局在する分子の合成に成功し、さらにLCMS解析によってプローブが標識された代謝物も複数同定されたが、検出感度が低いことから、反応条件やプローブ設計をさらに最適化する。また、より幅広い代謝物を標識するために、光反応基以外に様々な反応基を有するプローブの合成を進める。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Organelle‐Selective Labeling of Choline‐Containing Phospholipids (CPLs) and Real‐Time Imaging in Living Cells2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya Masaki、Tamura Tomonori、Hamachi Itaru
    • 雑誌名

      Current Protocols

      巻: 1 ページ: e105

    • DOI

      10.1002/cpz1.105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] オルガネラ膜特異的なホスファチジルコリンのライブイメージング2021

    • 著者名/発表者名
      田村朋則、浜地格
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 39 ページ: 594-600

  • [学会発表] オルガネラ選択的脂質ラベリングの新展開(3):ホスファチジルイノシトールへの拡張2022

    • 著者名/発表者名
      木村 天海、田村 朋則、浜地 格
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会
  • [学会発表] Development of novel proteomics methods based on biocompatible organic chemistry2022

    • 著者名/発表者名
      田村朋則
    • 学会等名
      第 5 回 京都生体質量分析研究会国際シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] タンパク質/脂質の in situ 化学修飾2021

    • 著者名/発表者名
      田村朋則
    • 学会等名
      東京大学 化学生命工学専攻 2021 年度 談話会
    • 招待講演
  • [学会発表] Organelle-selective labeling and imaging of choline-containing phospholipids2021

    • 著者名/発表者名
      田村朋則
    • 学会等名
      Pacifichem2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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