研究課題/領域番号 |
21H02079
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 亜沙子 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (50557121)
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研究分担者 |
浅井 歩 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (40783262) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | RNA / 低分子 / 探索 / Dicer / 創薬 / 分子設計 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
RNAが次世代の創薬標的として注目を集めている。しかし、RNAを標的とした低分子創薬研究にはいくつかの課題がある。低分子化合物が特定のRNAに結合する例(低分子化合物-RNAペア)が限られていること、RNAに結合する低分子化合物の適切な設計指針が不足していることである。本研究では、これらの課題を解消するための手法、「酵素DicerによるRNA切断反応と次世代シーケンサーを利用した、低分子化合物-RNAペアの網羅的探索手法」を提案した。本手法により低分子化合物-RNAペアのビッグデータを収集し、データ科学・情報科学的な分析を行う。これにより、RNAを標的とする低分子化合物の探索を加速し、分子設計指針を獲得することが、本研究の目的である。 研究目的を達成するために、1)~3)の研究項目を設定した。1) 酵素Dicerを使った低分子化合物-RNAペアの網羅的探索手法の確立、2) 低分子化合物-RNAペアのビッグデータの収集、3) RNA標的に必要な化学構造の抽出/低分子化合物-RNAペアの予測モデル導出、である。 当該年度は、1)、2)の研究項目を実施した。1) で開発する低分子化合物-RNAペアの網羅的探索手法は、RNAライブラリーの酵素Dicerによる切断反応、続く反応産物の次世代シーケンサーによる配列解析により、低分子化合物が結合しうるRNA配列を網羅的に同定するという手法である。手法の確立のため、酵素反応やシーケンシング反応条件の検討などを実施するとともに、大規模化合物ライブラリーへの適用を想定したハイスループット化の検討を行った。2)では、低分子化合物-RNAペアのビッグデータを得るために、化合物ライブラリーに1)の手法を適用する。共同研究先である大阪大学産業科学研究所中谷研究室より提供を受けた、核酸結合性の79化合物を用いた標的RNA配列の探索・同定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、当初計画にあった1) 酵素Dicerを使った低分子化合物-RNAペアの網羅的探索手法の確立、2) 低分子化合物-RNAペアのビッグデータの収集を実施した。研究項目1)については、実験装置の検討により実験条件を追加で検討する必要が生じたが、それについては完了している。研究項目2)については、化合物ライブラリーの種類を増やしてより多くの低分子化合物-RNAペアのデータの収集を進める必要があるものの、研究項目3)のデータ解析・情報解析を検討するのに必要なデータは収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に得られた知見をもとに、引き続き、研究項目2) 低分子化合物-RNAペアのビッグデータの収集を進める。化合物ライブラリーの種類を増やし低分子化合物-RNAペアのデータを得る。研究項目3)については、データ解析・情報解析の手法の検討が必須であることから、適切な専門機関の助言を得ながら進める。
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